来週26日(日)に、「第11回レスキューロボットコンテスト(レスコン)」競技会予選が開催されます。8月6日と7日開催の本選への出場権をかけて、書類審査を通過した20チーム(主催者枠を含む)が競います。
レスコンは、その名の通り、災害救助を題材としたロボットコンテストで、「国際レスキュー工学研究所」におけるレスキュー技術の評価と訓練を目的とした実験という想定のもと、設計・製作した遠隔操縦型ロボットなどにより、1/6スケールの被災した街の模型の中から要救助者を模擬したダミー人形(ダミヤン)を救出し、連れ帰るミッションに挑みます。被災地へ出動する「つよさ」と活動の「はやさ」に加え、要救助者を扱う「やさしさ」を競います。
また、防災やレスキューの啓発および広報も目的としており、競技参加者に加え、観客(市民や県民)にもその大切や難しさを考えてもらうことに重きを置いています。それゆえに、単にポイントを競うのではなく、レスキューに対する姿勢や、それにもとづいたロボットの設計・製作も評価しています。
レスコンは例年、企業スポンサーに加え、神戸市と兵庫県からも支援を得て開催されています。阪神淡路大震災を経験し、救命救助の活動や機器(資機材)に関する啓発や広報も必須であるとの認識によるものであり、昨年は「レスコン10周年」を記念して市民シンポジウムが開催されました。
すでにニュース覧で紹介したように、神戸市は2010年度末に、国際レスキューシステム研究機構が開発した災害対応ロボット「UMRS2010」を購入し、神戸ロボット工房(神戸市長田区)での展示を通じた啓蒙や、神戸市消防局での運用訓練に役立てようとしています(東日本大震災の影響により遅れていますが)。導入に至った直接的な理由は、年度内で予算を確保することができ、かつ投資判断ができる行政担当官がいたからですが、住民サービスとして「安心・安全」を提供しようとする政策に理解を示し、そうした選択を支持する神戸市民の防災・減災へのリテラシーの高さもあったからでしょう。そして、過去10年にわたるレスコンの開催は、上述のような狙いがあることを踏まえると、その一助になったといえるはずです。
2010年4月1日に、総務省により救助隊の編成、装備および配置の基準を定める省令改正がなされ、特別高度救助隊および高度救助隊による「検知型遠隔探査装置」(遠隔操作式の災害対応ロボットなど)の配備が推奨されました。あくまで、地域の実情に応じて導入すべきものですので、現在のところ神戸市以外の地域では、配備に向けた動きは確認されていません(すでに導入している東京消防庁は別として)。しかし、ハザードマップなどで災害の危険性が示されている地域は、ロボットを配備するかどうかは別として、それに対応した対策や手段が講じられなければならないはずです。何もしなければ、想定が甘いと斬って捨てられた東京電力と五十歩百歩です。
災害対応ロボットに限っていえば、各自治体の財政状況を踏まえると、導入困難なのは容易に想像されます。国が戦略的に全国の主要都市(政令指定都市)やハザードマップにもとづいて配備したり、自衛隊に配備したりすべきという声が聞かれます。こうした選択肢もあるでしょうが、省令改正でも記されているように、やはり地域の実情に応じて、地域あるいは広域連合が責任をもって導入すべきです。
国の財政状況や、東日本大震災ならびに福島原発災害への被災者への対応を考慮すると、こうしたシステムの大規模な配備に予算がつけられる可能性は低いという理由もありますが、自治体ベースで取り組まれる方が、ハザードマップに応じたシステムの導入、運用モデルの構築を円滑に進められるからです。各地の消防が運用している資機材は、それぞれの実状を踏まえて導入されているのですから、なおさらそう思われます。そこで、カギとなるのが防災・減災に対するリテラシーの向上です。選択肢の1つにすぎない災害対応ロボットに対し、限られたリソース(財源)の中で予算配分を行うためには、住民に理解してもらい、こうした選択を支持してもらうことが必須であり、(リスク)リテラシーがなければ、そうなり得ないからです。
リテラシーを備えてもらうためには、小学校の段階からレスキュー工学に馴染んでもらうのが理想ですが、これに関心を持ってもらう初級段階として、レスコンの開催に協力したり予選会の開催を誘致したりするのは「あり」でしょう。神戸市民の(リスク)リテラシーの醸成の一助となっているのですから。
もちろん、災害対応ロボットの導入ではなく、災害に強い街づくりにつなげてもらうことが第一の目的です。耐震改修などインフラの再整備を「事前の対策」として行うとともに、「事後の対策」として、有事に備えた条例改正を行ったり、消防隊員を増強したり新たな資機材を導入したりするといった方策がなされるべきで(機械安全でいえば両方を含め「事前の責任」とされるでしょう)、事後対策の1つとして、ロボットの選択および地域の実情に合わせた要求仕様の提示につながればよいのです。
大切なことは、ハザードが高い地域では災害・減災へのリテラシーを備えてもらうこと。そして、地域の情勢を踏まえて、そのときどきで適切に政策を選択してもらい、資機材の購入など必要な対策に結び付けてもらうことです。住民に正しい選択をしてもらうための十分なリテラシーを備えている地域はまだまだ多いとは言い難く、また、何から手を付ければよいのかがわからないというところも多いはずです。その一助して、レスコンの活用は「あり」ですし、関係される先生方も協力してくださるはずでしょう。
(ロボナブル編集部)
●第11回 レスキューロボットコンテスト競技会予選
【過去のコラム】
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