北海道大学大学院情報科学研究科の田中孝之准教授は、5月26~28日開催の「ロボティクス・メカトロニクス講演会2011(ROBOMEC2011 in OKAYAMA」で、身体の負担軽減(軽労化)を支援する「スマートスーツ・ライト」の被災地域での活用例を報告。家の中に山積した瓦礫や残土の除去など生活復旧活動に当たるボランティアに着用もらい、腰部の負担軽減効果を実感してもらえたことを紹介した。おもに介護労働における身体への負担軽減を目的に開発したものだが、各種作業への幅広い適用が見込まれる。現在、被災地域での活動に適した作業服と一体となったモデルを急遽開発しており、6月末には完成する見込み。被災自治体などとも調整を図ることで、早期の大量投入を目指す。
「スマートスーツ」は、柔軟なストレッチ素材などの弾性材による引っ張り力を、作業姿勢や動作に応じて最適な補助力に変換する補助具。具体的には、センシングした姿勢や動作情報にもとづいて、モータユニットにより弾性材の伸長量を制御することで背中を伸展する方向に最適な補助トルクを発生。背筋を補助する。3次元動作解析と動力学モデルから得た筋骨格モデルにもとづいて制御を行っている。
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同ライトはスマートスーツからセンサとモータを廃したモデルで、ユーザーの姿勢変化に伴う弾性材の張力の変化を利用して負担軽減を行う。肩と脚部にかけて後背部に配置した弾性材を腰まわりで固定し、固定した身体表面の変化に伴う弾性材の伸びを利用して背筋を補助する。
簡単にいえば、胸と大腿部のパッドと腰まわりのベルトで固定する構造になっており、腰にかかる負荷が胸と脚、腰まわりを締め付ける力に分散されるように弾性材を配置している。筋骨格モデルにもとづいて弾性材の配置および設計を行っている。
発生した補助力が腰まわりにも作用することで大幹の安定効果も得られ、アシストとコルセットの両方の効果がある。これまでに介護作業向けのほか、農作業支援や調教騎手向けのモデルを試作している。
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被災地では、4月20日から現在まで日環エンジニアリング(宮城県大崎市)の社員による生活復旧ボランティアで使用してもらったほか、5月2~4日にかけてのNEDOによる被災地調査でも利用してもらった。NEDOによる運用は、同機構の「福祉用具実用化開発助成金」(2009~2010年度)で研究開発した経緯によるものである。
それぞれに腰部への負担軽減や翌日の疲れや痛みが軽減されるといった効果が認められたものの、試作段階であるためデザイン性と耐久性で課題を指摘された。被災地での活動に向け、作業服メーカーと共同で作業服と一体となったモデルの開発に取り組んでおり、6月末には完成する予定。被災地域での大量投入に向け、自治体側との調整も図っていくという。
田中准教授らは、スマートスーツによるアシストを「軽労化技術」と表現しており、「必要以上に増力することなく、身体への負担や疲労を取り除く技術」と説明している。ロボットスーツ「HAL」のような能力増強(HAL福祉用は能力補償にあたる)のように、パワー増幅によりできないことを行えるようにする技術ではなく、「できることを楽にできるようにする」技術としている。
●スマートスーツ研究会
●スマートサポート
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