公共/フロンティア

2011.05.27
産総研の柴田研究員、避難所向けパロの導入・運用マニュアル開発へ

 産業技術総合研究所 知能システム研究部門の柴田崇徳主任研究員は、26~28日開催の「ロボティクス・メカトロニクス講演会2011(ROBOMEC2011 IN OKAYAMA)」で、震災および原発災害避難所におけるセラピーロボット「PARO(パロ)」の活用事例を紹介(中央大学の大隅久教授が代わりに紹介)。ロボット・セラピーへの認知度が低いため導入までに手間を要したものの、PAROとの触れ合いを通じてスムーズに利用されたことを報告した。今後は、より円滑にPAROを使ってもらえるよう避難所での利用を想定した導入・運用マニュアルの開発に取り組む。また、仮設住宅100戸につき1個所の設置が予定されるサービス・センターでの利用に向け、幅広く配布できるようPAROの寄贈や公共調達も働きかける。

paro.jpg 3月から、震災発生から約1カ月後となる4月中旬を目標に、自治体や社会福祉協議会などに対し、避難所でのPAROの運用許可に向け交渉を進めていた。PAROの販売パートナーである大和ハウス工業と首都大学東京の和田一義准教授、井上薫准教授の協力により可能になった。茨城県つくば市の洞峰公園体育館(写真、ROBOTADより引用・転載)や東京都足立区の東京武道館など複数施設で利用実績を上げている。

 ロボット・セラピーには、鬱(うつ)の改善やストレスの減少など心理的および生理的な効果に加え、それとの触れ合いによるコミュニケーションの増加が認められている。今回のケースでは、被災者は集団生活による生理的なストレスや家族を失ったことによる心理的なストレスを抱えており、また、支援者は被災者に積極的に声をかけづらいという問題がある。また、避難所でのペットの持ち込みは大抵禁止されており、PAROなどによるロボット・セラピーの効果が期待された。
 ところが、ロボット・セラピーの認知度が低く、導入までに避難所を運営する自治体や社会福祉協議会への説明が求められた。多くの時間と手間を要した。また、各避難所は多忙を極めており、PAROの運用に伴い新たな活動が生じることへの抵抗感もあったとう。とはいえ、PAROとの触れ合いを通じて、被災者に笑顔が戻るといった効果を理解してもらえると、スムーズに利用されるようになった。

 今後は、より円滑に使ってもらえようロボット・セラピーの認知度の向上に努めるととともに、避難所向けの導入・運用マニュアルの開発に取り組む。また、仮設住宅の建設に合わせて設置されるサービス・センターや被災地の小学校などでの利用に向け、幅広く配布できるよう公共調達や寄贈に向けた調整も図るという。


●PAROの訪問施設
・茨城県つくば市 洞峰公演体育館
・東京都足立区 東京武道館、江東区 東京ビッグサイト
・横浜市 介護老人保健施設(避難所になっている)、たきがしら会館
・川崎市 とどろきアリーナ
・千葉県千葉市 サイクル会館
・福島県いわき市 アリオス会館
・福島県南相馬市 市役所、避難所
・宮城県山元町 避難所 など

●対災害ロボティクス・タスクフォース(ROBOTAD)
避難所での心のケアにパロも出動」(2011年4月23日投稿)


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