千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)は、福島第一原子力発電所原子炉建屋内への投入に向け準備を進めているレスキューロボット「Quince(クインス)」の現状を公開。大学校内での実証実験を記録した動画を通じて、2台のQuinceが連携して原発建屋の上層階を探査できる様子を披露した。原発建屋の線量マップの作成をはじめ冷温停止に向けた情報収集に役立てる。
無線LAN通信で遠隔操作するQuinceの遠距離通信の確保に向け、ツイストペアケーブルと光ファイバーケーブルによる有線区間を設ける方法に改めた(図、fuRoホームページより)。
システムは、おもに建屋内を先行して探査するQuince(先行探査Quince)と、これを支援するQuince(支援Quince)から構成され、先行探査Quinceは線量計とレーザレンジファインダー(LRF)を、支援Quinceは500mのツイストペアケーブルを収納できるケーブルドラムと無線中継器をそれぞれ搭載。支援Quinceが建屋内用無線機と接続したツイストペアケーブルを引き回しながら移動することで、先行探査Quinceの活動を支援する。
また、建屋内用無線機と建屋外用無線機とは無線LAN通信でやり取りをし、建屋外用無線機と操作卓とは光ファイバーケーブルで通信を行う。建屋外無線機はタービン建屋内に設置し、より線量の低い場所に操作卓を設置して操作すると想像される。
4月24日に発表したシステム構成では、先行探査QuinceはLRFを搭載していなかったが、6日に発表したQuince 3号機の構成にした。放射線量を計測しつつ環境情報を組み合わせた線量マップを作成する。LRFが-20~90度の角度で斜めにQuinceの全周を3次元計測することで環境情報を取得しており、1台で計測できるが、バックアップ用としてもう1台を追加したと考えられる。
公開した動画は、千葉工大内での深夜の走行実験を収めており、2台のQuinceが連携して階段を踏破しつつ探査活動が行える様子を紹介。米iRobot社の「PackBot(パックボット)」ではアクセスが困難な上層階に進入できることを示した。また、24日の記者発表では東京電力の現場スタッフに向け新規に作成した操作マニュアルも公開したが、今回の改造に合わせて作成し直したものも紹介した。詳細はfuRoホームページを参照してほしい。
なお、Quinceの原発建屋内への投入については、無人化システムの投入を検討するリモートコントロール化プロジェクトチームが導入推奨をしており、4月28日には東京電力が放射線量の測定などに向け準備に入っている。ただし、放射線レベルや放射線に汚染された瓦礫の状況など時々刻々と変化する現場の状況を見ながら判断されるため、近く投入される見込みとしかいえない状況が続いている。
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