公共/フロンティア

2011.04.28
日立と三菱重工、福島原発の事故対策で協力、特殊フォークリフト開発

 日立製作所と三菱重工業は27日、福島第一原子力発電所の事故対策で協力すると発表した。福島第一原発の主契約者である日立は現在、米国企業と共同の専門家チームを立ち上げ短期および中長期の支援策を検討している。国内外の幅広い企業との連携を模索する日立が三菱重工に持ちかけた。具体策は今後詰めるが、事故支援を契機に両社の原子力事業の関係がより深まる可能性もある。

 日立は、原子力事業で合弁を組む米General Electric(GE)社、電力大手の米Exelon(エクセロン)社、エンジニアリング大手の米Bechtel(ベクテル)社と共同で、冷温停止に向けた短期対策と、廃炉までの中長期の工程表を東京電力に提案している。日立が窓口となり日米チームと三菱重工が協力する枠組みになると予想される。
 また、三菱重工と原子力事業で提携関係にある仏AREVA(アレバ)社などとの協力も検討する。AREVAは東電に独自の汚染水処理システムを提供する予定になっている。福島の事故対策では東芝も日米チームが廃炉案を公表。2つのグループが支援を同時並行で進めている。

mhi38.jpg 三菱重工では、原子力分野での支援も模索しており、ロボットや特殊車両、航空機など部門で検討を進めてきた。同日、原発建屋周辺で最大9tの瓦礫を除去できる特殊大型フォークリフトの開発を発表した。
 板厚100mmの鋼板と厚さ230mmの鉛ガラスからなる全辺溶接構造の密閉キャビンを搭載したのが特徴で、全辺溶接構造により密閉性を確保した。戦車などの開発で培った遮蔽技術によるもので、放射線量を1/50~1/00に遮蔽することができる。また、放射線に汚染された物質を除去する機能を持つ特殊なフィルターを装着しており、浄化された空気のみをキャビン内に供給する。
 サイズは、7.3m(全長)×全幅2.5m(全幅)×全高3.8m(全高)、重量30t。荷役荷重は9t。約1カ月間で開発した。5月には無人化施工を実施している大成建設と鹿島、清水建設の共同企業体に2台納品する。

 なお、原発建屋周辺での無人化システムによる瓦礫の撤去作業に向けては、双腕による細かい作業が行えるテムザックの「T-53援龍」も投入候補の1つにあがっている。今月4日に経済産業省が主催した、産業技術総合研究所内での東京電力向けのデモに参加し、現在もつくば市内で待機状態にある。
 しかしながら、原発建屋周辺は現在、無線が混信した状況下にあり、投入時にはリソースが干渉しないよう周波数を時間によって計画的に割り振るといった運用上の工夫が求められる。また、2009年7月に北九州市消防局戸畑消防署に配備されたものの、いまだに正式導入(購入)には至っておらず、これを実績と捉えるのかについては意見が分かれる。加えて、東京電力の現場スタッフの運用訓練の実施が要求されることを踏まえると、投入される可能性は低いと思われる。

 テムザックでは、戸畑消防署での検証をもとに、フジタと共同で次世代機となる「T-54援龍」の開発を予定していたが、国土交通省の災害対策予算が仕分けされた影響で、共同開発には至っていない。


【関連記事】
キャタピラージャパン、気仙沼で瓦礫処理の実証実験を開始 (2011/04/15)
原発の復旧作業に向け複数ロボによる作業プロセスとしての提案が必須 (2011/04/12)
東芝、福島原発の燃料棒取出で連携、ロボ運用実績のある米企業と計画案 (2011/04/08)
ゼネコン各社、無人建機で危険域復旧へ、福島原発に投入 (2011/04/05)
無人化施工技術、震災復旧作業に向け総力 ―福島第一原発の瓦礫除去作業を支える (トレンドウォッチ)




好評連載がついに書籍化!


―東大研究者が描く未来―


国内外の事業例を解説


消費者が描く未来生活を紹介