東京大学の淺間一教授は、24日に国際レスキューシステム研究機構(IRS)が開催した記者発表で、主査を務める「対災害ロボティクス・タスクフォース(TF)」の活動と、調整役として参加している「リモートコントロール化プロジェクトチーム(PT)」での検討内容を紹介。国内に原発災害に対応できるロボットが存在しない現状を踏まえ、「事故の発生率が低くとも、(原発災害による)被害リスクを考慮して(ロボット開発をはじめとする国プロの)戦略を再考する必要がある」との考えを示した。また、PackBodを開発した米iRobot社を例に、企業が開発からメンテナンスまでを一貫して行う
過去に、原子力発電所に向けたロボット開発プロジェクトとして、旧通産省による「極限作業用ロボット」(写真)と「原子力プラント点検ロボット」や旧科学技術庁の「原子力基盤技術開発」、日本原子力研究所などによる「JCO対策原子力防災ロボット」がある。
ただし、いずれもメンテナンスをターゲットに取り組まれたものであり唯一、事故対応を目的としたJOC対策原子力防災ロボットは実証まで漕ぎ着けたものの単年で終了している。また、開発したロボットシステムの維持・運用がなされず、すでに廃棄されており、結果、今回のような原発災害に対応できるロボットが存在しない(これらの詳細は対災害ロボティクスTFの「災害対策ロボット技術解説(7)」を参照してほしい)。
わが国の原子力政策は、原発事故は発生しないという信頼のもとに立てられており、結果、災害に対応するロボットシステムは不要との考えが根付いているが、「同じ轍を踏まないよう、国をあげて戦略を再考しなければならない」と強調した。
また、4月17日と18日にいち早くPackBotが投入されたことを踏まえ、「(iRobot社のような)企業が開発からメンテナンスまでを手がけるロボットを利用するのが望ましい」とし現在、研究レベルのロボットが投入されるのは「正しい姿ではない」とコメント。「例えば、電力会社が(原発災害対応)ロボットを購入しようとする機運があれば国も研究開発に投資をし、研究成果を生かすメーカーの参入もあるのでは」と、こうした機運づくりの必要性にも言及した。
また、リモートコントロール化PTの検討内容にも触れ、4月6日から導入した無人化施工機械を紹介。導入当初は4台でコンクリート瓦礫の除去作業に当たったが今後、導入システムを追加し、バックホウ3台、クローラダンプ3台、オペレータ車2台、カメラ9台の計17台を使用する予定であることを紹介した。
そのほか、4月10日には米Honeywell(ハネウェル)社の小型無人ヘリコプター「T-Hawk(ティーホーク)」により1~4号機原子炉建屋の空撮が、4月17日と18日には米iRobot社の軍用ロボット「PackBot(パックボット)」により原子炉建屋内の放射線量などの測定が実施されたことも紹介した(動画)。PackBotはタービン建屋の二重扉から原子炉建屋内に進入して調査を行っており、「Quince(クインス)」の追加改造ならびに運用方法の検討に役立てられている。
淺間教授による説明の詳細は、IRSのホームページから「原発災害へのロボット技術の適用」をダウンロードして確認してほしい。
●対災害ロボティクス・タスクフォースの参考記事
・なぜ,すぐにロボットを現場に導入できないか
・原子力防災ロボット1980-2000(1)
・原子力防災ロボット1980-2000(2)
・災害対策ロボット技術解説(1)
・災害対策ロボット技術解説(2)
・災害対策ロボット技術解説(3)
・災害対策ロボット技術解説(4)
・災害対策ロボット技術解説(5)
・災害対策ロボット技術解説(6)
・災害対策ロボット技術解説(7)
東京電力が20日に公開した福島第一原発3号機原子炉建屋内でのPackBotによる調査活動の様子(4/17-1)
福島第一原発3号機原子炉建屋内でのPackBotによる調査活動の様子(4/17-2)
福島第一原発3号機原子炉建屋内でのPackBotによる調査活動の様子(4/17-3)
福島第一原発2号機原子炉建屋内でのPackBotによる調査活動の様子(4/18-1)
福島第一原発2号機原子炉建屋内でのPackBotによる調査活動の様子(4/18-2)
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