公共/フロンティア

2011.04.25
IRSなど、水中ロボによる探索活動を報告、行方不明者の発見には至らず

 国際レスキューシステム研究機構(IRS)は24日、19~23日にかけて宮城県と岩手県の沿岸部で実施した水中ロボットによる探索活動を報告。ミッションの1つである行方不明者の発見には至らなかったものの、ダイバーがアクセスできないような危険地所の調査などを通じて、港湾に堆積している障害物の位置を特定するなど、港湾の復旧に役立つ情報提供が行えたことを紹介した。

CRASARが公開した岩手県陸前高田市での調査活動の映像(1)。画面に映っている腕らしきものはゴム手袋

CRASARが公開した岩手県陸前高田市での調査活動の映像(2)。港湾に流された車中に人がとり残されていないかを調査している

 今回の活動は、南三陸町の佐藤仁町長と岩手県災害対策本部からの探索依頼を受けて実施した。宮城県南三陸町と亘理町、岩手県陸前高田市(広田湾)の沿岸部でダイバーがアクセスできない危険地所で行方不明者の探索を行い、遺体を発見した場合は、その位置座標を自衛隊に通報する。また、港湾に堆積している瓦礫などの障害物の位置を特定し、船の進入ルートの確保に役立てる。

 米国ロボット支援探索救助センター(CRASAR)のディレクタを務めるテキサスA&M大学のRobin Murphy(ロビン・マーフィー)教授らと合同チームを編成して実施した。また、IRSの「インターナショナル・レスキュー・システム・ユニット(IRS-U)」に参加する、神奈川県の現役消防隊員である真壁賢一IRS-U隊長も参加している。
 自治体からの正式要請を受けての水中ロボットによる行方不明者の探索はわが国初という。また、ロボット研究者と海上保安庁が共同でミッションに当たったのもわが国初と思われる。

 ロボットには、Murphy教授が持参した水中探査ロボット「seamor-ROV」や米SeaBotix社の「SERbot」(写真左)、東京工業大学の広瀬茂男教授の水中探査ロボット「アンカーダイバ3号機 AK-3」(写真右)などを利用した。
  19~21日にかけては、広瀬教授らのチームは亘理町を、Murphyらのチームは南三陸町をそれぞれ探索。21日にはMurphyは陸前高田市に移動し、23日の昼過ぎまでまで探索活動を行った(おもな活動スケジュールと参加者は以下を参照してほしい)。広瀬教授らの調査では、19日は悪天候だったためアンカーダイバーによる探索は20日のみとなっている。これらの調査結果はすでに各自治体に報告しており、今後の港湾の復旧などに役立ててもらう。

SEABOTIX.jpgAK-325.jpg

  アンカーダイバによる探索活動では、大量に散乱している定置網に絡まる事故が発生し、保護対策として海底面に接地する本体足部を形状変更した。遺体の発見には至らなかったが、母船からワイヤで牽引して探索を行う方式のため、定位置に安定して静止することができ、調査対象を確実に確認できたという。また、ワイヤが堆積した瓦礫などに絡まることがなく、操作性も良好だったことを報告した。
 アンカーダイバは、搭載したBlueView製2次元イメージングソナーとハイビジョンカメラを用いて海底をモニタリングする。2自由度のスラスターを搭載しており、母船上から最大20mの範囲のエリアを移動することが可能で、今回の調査では最大深度4mで約100㎡を探索した。

  本来、このような調査は地元の消防隊やレスキュー隊員、もしくは自衛隊などが行う方が望ましく、今回のIRSによる活動はボランティアにより実施された。ただ、水中ロボットによる探索活動は危険地所での調査で使え、ダイバーの安全の確保につながった事実を踏まえると、ミッションは完遂されていないながらも、レスキュー用途でこうしたシステムが役立つ可能性を提示したと捉えられる。

CRASARが公開した岩手県陸前高田市での調査活動の映像(3)

CRASARが公開した岩手県陸前高田市での調査活動の映像(4)

アンカーダイバ3号機のスラスタ動作の様子

●活動スケジュールの概要
・4月19日(火)Murphy教授:南三陸町/広瀬茂男教授:亘理町
・4月20日(水)Murphy教授:南三陸町/広瀬茂男教授:亘理町
・4月21日(木)Murphy教授:南三陸町、陸前高田市/松野文俊教授、真壁賢一氏:陸前高田市(打合せ)
・4月22日(金)Murphy教授:陸前高田市
・4月23日(土)Murphy教授:陸前高田市

●活動参加者
・Robin Murphy氏(テキサスA&M大学教授、CRASAR ディレクタ)他スタッフ5名
・田所諭氏(東北大学教授、IRS 会長)
・松野文俊氏(京都大学教授、IRS 副会長)
・根和幸氏(京都大学助教)
・広瀬茂男氏(東京工業大学教授、ISR 理事)他スタッフ3名
・木村哲也氏(長岡技術科学大学准教授)
・真壁賢一氏(神奈川県内在籍消防隊員、IRS-U隊長)
・東北大学田所研究室 学生1名
・長岡技術科学大学木村研究室 学生1名


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