公共/フロンティア

2011.04.17
【第6報】東電、原発建屋内の調査に米国製ロボを投入、運用実績を重視

 東京電力は17日、福島第一原子力発電所にロボットを投入して1~3号機の原子炉建屋の内部調査を行うと発表した。ロボットを遠隔操作して建屋の放射線量や温度、酸度濃度などを測定したり、格納容器などの損傷具合や水たまりの有無を調査したりする。17日の午前には3号機への投入を始めており、進捗状況によっては同日内に1号機にも投入する。調査結果を参考にしつつ、今後の復旧作業に向け作業工程を検討する。

packpod.jpg 投入するのは、米iRobot(アイロボット)社の軍用ロボット「510 PackBot(パックポッド)」。約800m離れた場所からの遠隔操作が可能で、最高走行速度は9.3km/h、60度の傾斜を走行できる。サイズは、68.6(長さ)×52.1(幅)×17.8.(高さ、いずれもサブクローラ搭載時。サブクローラ展開時の長さは98.9cm)。重量10.89kg(バッテリー非搭載時)。オプションとして8自由度のアームを搭載できる(スペック表より引用)。

  2台が投入される予定で、1台が内部環境を計測し、もう1台がカメラで作業状況などを確認する予定。原子炉建屋は二重扉になっており、まず作業員が外側の扉を開け、PackBotを二重扉の間の空間に設置。作業員が外に出て外側の扉を閉めた後にPackBotが内側の扉を開け、建屋内の格納容器周辺の調査を行う(下の写真は東電より公開されたもの)。約1週間にわたり扉の開閉訓練を行っており、それに成功しているという。

 原発災害へのロボットなどの投入に向けて、統合連絡本部内の「リモートコントロール化チーム」にて東京大学の淺間一教授と産業技術総合研究所 知能システム研究部門の比留川博久部門長らが、ロボット研究者などと東京電力との調整役を果たしてきた。淺間教授からは、原発建屋内およびタービン建屋内での内部調査には、狭隘部での作業に適している日本のロボットを、建屋外の作業には海外のロボットや無人化施工技術を利用する方向で検討しているとの考えが示されていた。
 東京電力側からは、「PackBotは戦地での爆弾処理や偵察などで利用されており、運用実績を重視した結果、投入されたと聞いている」(東京電力 広報担当)と、その選定理由が説明された(*)

 それ以外の理由については「ノウハウに関わることなので答えられない」(同)とした。原発建屋のコンクリート壁は相当分厚くつくられており、場合によっては、有線通信を併用する必要性があると想像されるが、それについては「わからない」(同)とのみ答えた。

 東京電力では、今回の実績を踏まえて、1号機および2号機の原子炉建屋内の踏査もロボットを活用する方針。しかし、「現在の調査状況によって計画変更される可能性が高く、具体的に投入するロボットについてはまったくわからない」とした。
 現在、原発の復旧作業に向け障壁となっているのは高濃度汚染水の処理であり、今回の調査をもとに、その見通しが立つことを願う。

packpod1.jpg

packpod2.jpg

packpod3.jpg

【注釈】
*:17日のクリントン米国務長官の来日も少なからず影響していると考えられる。


【関連記事】
【第5報】原発建家内の作業に向け国内ロボットを近く投入へ (2011/04/15)
【第4報】福島原発にロボ投入向け検討が本格化、プロジェクトチームが初会合 (2011/04/08)
【第3報】原発へのロボ投入に向け、統合連絡本部内チームで本日初会合 (2011/04/07)
【第2報】原発の調査・放射能の計測に探査ロボ活用へ、近く試験を実施 (2011/03/30)
放射性物質のモニタリングに探査ロボを活用へ、検討が具体化 (2011/03/29)




好評連載がついに書籍化!


―東大研究者が描く未来―


国内外の事業例を解説


消費者が描く未来生活を紹介