公共/フロンティア

2011.04.15
日本学術会議、原発事故対策に向けロボット技術の活用を提言

 日本学術会議は13日、福島第一原子力発電所の事故対策に向けロボット技術の活用を提言。電力会社と消防や自衛隊、関係省庁、ロボット専門家、放射線専門家からなる合同対策チームを発足し、必要な権限と予算措置を与えて対応すべきとの考えを示した。また、原発の運用・安全システムの見直しにも触れ、想定外の事態に対応するロボットの活用を前提としたシステム設計への転換、ならびにレスキューロボットの開発に恒常的に取り組む組織の創設を求めた。

 日本学術会議内の東日本大震災対策委員会で東京大学の佐藤知正教授を中心にまとめた。大きくは、原発の事故対策と運用・安全システムの見直し、レスキューロボット技術の再検討の3点に言及した。

 事故対策については、まず原子炉の「冷温停止」に向け合同対策チームを発足し、必要な権限と予算措置を与えることを提言。既存のロボット単体では現状への対応は困難とし、適用環境およびミッションに対応したロボット技術の活用方法の提案から、改良、開発まで早急に行うことを求めた。
 すでに政府と東京電力の統合連絡本部内に、ロボットや無人化施工の活用などを検討する「リモートコントロール化トチーム」が立ち上がっているが、消防や自衛隊は参加していない。現場対応にあたる消防や自衛隊も参画する別組織のチームの発足を促すべく提案している。

 また、次の段階となる廃炉の完了に向けては、作業者の被曝量の低減と作業効率の向上に向け自律ロボットの活用による自動化を提案。長期的に対応できる専門機関の設置と新規ロボットならびに運用システムの開発も挙げた。さらに周辺地域の除染作業に向け、自律移動ロボットの巡回によるモニタリング、これに連動した自律作業ロボットによる除染作業の実現も提案した。

 運用・安全システムの見直しでは、今回のような想定外の事態に備え、原発プラントのあらゆる部分でロボットを活用したシステム設計への転換を提言。関連企業や原子力専門家などと連携して、汎用および自律ロボットの導入により、システムが崩壊しても安全が維持される設計検討を継続的に推進することを求めた。

 レスキューロボット技術の再検討については、被災状況や復興対策を分析したうえで既存のロボット技術を提供するとともに、より有効な活用に向け、国に対しレスキューロボットを開発、保守、改良し、運用訓練を実施できる組織の設置を求めた。
 日本学術会議では、関連学会や研究機関、自治体、企業などとの横断的な連携を促進するとともに、国民ならびに国際社会に対し情報開示を行うとしている。

 運用・安全システムの見直しは、1983~1990年度に取り組まれた「極限作業ロボットプロジェクト」と2000~2001年度に取り組まれた「原子力防災支援システム」を、レスキューロボット技術の再検討については、2002~2006年度に取り組まれた「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(大大特)」をそれぞれ意識した提案と思われる。ただし、非常時にしか運用されないレスキューロボットを恒常的に開発し、かつ保持・運用訓練を行える組織の創設は、現在のわが国の財政状況を考慮するとほぼ不可能である。その運用までをパッケージ化したソリューションとして海外展開したり提供したりするなど、国際貢献とビジネス展開の両方を見据えた方策を検討する必要があると思われる。


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