公共/フロンティア

2011.04.15
【第5報】原発建屋内の作業に向け国内ロボットを近く投入へ

 福島第一原子力発電所への復旧作業に向け、原発建屋内およびタービン建屋内の作業には日本のロボットが、建屋外の作業には米国のロボットなどがそれぞれ投入される見通しとなった。国内ロボットについては、建屋内で瓦礫などが存在する狭隘部に侵入し、内部状況を確認したり何らかの作業をしたりする用途で利用する。すでに各ロボットの耐放射線性能の検証を始めており、高レベルの放射線量が検知される環境下でも一定時間、稼働できることを確認しつつあるという。ミッションを想定した改造などに着手しており、早期に投入される可能性が高まった。

 政府と東京電力の統合連絡本部内の「リモートコントロール化チーム(*)」で調整役を果たす東京大学の淺間一教授への取材で明らかになった。現時点では具体的な適用環境やミッションを明かせないとしつつも、建屋内の狭隘部での作業は仕様上、日本のロボットでないと対応困難との判断から、このような使い分けを検討しているという。

 国内のロボットには、放射線環境下での作業を想定したシステムがないうえ運用実績も乏しいが、例えば国際レスキューシステム研究機構(IRS)と東北大学、千葉工業大学の「Quince(クインス」が約半年にわたり千葉市消防局で運用試験がなされたように、「通常環境では即投入が可能なものもある。現在の検証作業や改造などの進捗を踏まえると(時期は明言できないが)早期に投入される可能性が高まった」(淺間教授)という。

quince-kai.jpg原発建屋内の探査作業に向け電源供給のためのケーブルリールを搭載したQuince 5号機(千葉工大の先川原fuRo室長のコラムより引用・転載)


 原発建屋外の瓦礫の除去作業では、6日から各種建機による無人化施工による作業が開始されている。大成建設と清水建設、鹿島などが担当している、無人化施工は、長崎県雲仙普賢岳の噴火による被災地の復興支援で稼働するなど、20年以上にもわたる運用実績を積んでいる。また、瓦礫の把持や積載、運搬などの一連の作業はこれまでの作業内容とほぼ同様で、既存システムおよび作業スタッフをほぼそのまま適用できることから、早期に福島原発の復旧作業に投入された。

 これに対し、投入が検討されている国内のレスキューロボットは研究レベルのものがほとんどである。また、高レベルの放射線量がある中での作業を想定したものではない。加えて、ミッションに応じた追加装備や改造、複数ロボットの連携作業、運用試験を確実かつ早急に実施しなければならない。無人化施工とは運用実績やシステムの信頼性が著しく異なることを押さえたうえで、国内のロボットが投入されることを見守なければならない。

 なお、リモートコントロールプロジェクトチームには、ロボットと無人化施工、放射線量計測の3分野の代表が参加しており、ロボット分野には淺間教授と産業技術総合研究所 知能システム研究部門の比留川博久部門長が、無人化施工は大成建設が、放射線量計測は富士電機がコアメンバーとなっている。経済産業省 製造産業局 産業機械課によると、ロボット分野については、他分野と違って運用実績が乏しいことから、東京電力とロボット研究者などとの調整役として淺間教授と比留川部門長に参加してもらったという。

※これまでの記事では「リモートコントロールプロジェクトチーム」と表現していましたが、本記事からは経済産業省 原子力保全・保安院の表現に倣い、「リモートコントール化チーム」としました。チーム名の正式名称は存在しないとのことです。


【関連記事】
キャタピラージャパン、気仙沼で瓦礫処理の実証実験を開始 (2011/04/15)
原発の復旧作業に向け複数ロボによる作業プロセスとしての提案が必須 (2011/04/12)
【第4報】福島原発にロボ投入向け検討が本格化、プロジェクトチームが初会合 (2011/04/08)
【第3報】原発へのロボ投入に向け、統合連絡本部内チームで本日初会合 (2011/04/07)
IRSなど、原発内での探査活動に向け探査ロボに追加機能を搭載 (2011/04/06)
ゼネコン各社、無人建機で危険域復旧へ、福島原発に投入 (2011/04/05)
【第2報】原発の調査・放射能の計測に探査ロボ活用へ、近く試験を実施 (2011/03/30)
放射性物質のモニタリングに探査ロボを活用へ、検討が具体化 (2011/03/29)




好評連載がついに書籍化!


―東大研究者が描く未来―


国内外の事業例を解説


消費者が描く未来生活を紹介