RT(Robot Technology)要素

2011.04.04
立命館の金岡研究室、不整地歩行を可能にする簡素な足部機構を考案

 立命館大学 総合理工学部研究機構の金岡克弥チェアプロフェッサー(マンマシンシナジーエフェクタズ代表)は、脚部の下端に設置することで、2足歩行ロボットなどの安定歩行を可能にする足部機構(写真は動作確認のための模型)を考案した。足底に3つの接地片を配置した独自構成となっており、各接地片が揺動運動をすることで、それぞれの接地面が個別に地面にならって接地する。床反力により受動的に床面にならう簡素な機構であり、いったん接地すれば地面が変形しない限り安定するため、不整地歩行時でも十分なトルクおよび推進力が得られる。
 金岡チェアプロフェッサーは、人の操作力を増幅する脚部のパワー増幅制御と、足関節トルクを操作して自律的にバランスをとるオートバランス制御を組み合わせた歩行技術[1]を提案している。これに今回、考案した機構を組み合わせることで、不整地上でも安定歩行ができる2足歩行ロボット(2腕2脚を備える人型ロボット)の実現につながると期待される(*)

fig1,kanaoka.PNGfig2,kanaoka.PNG

 考案した足部機構は、2足歩行ロボットなどの脚部の下端に設置する。脚部に取り付けるためのベース部材と、それぞれに接地面を備える3つの接地片から構成され、これらは回転関節部を有するユニバーサルジョイントを介して接続されている。またユニバーサルジョイントは、基準姿勢においては三角錐の稜線を構成するよう配置されている。

 このような構成により、各接地片が床反力により受動的に揺動運動をするため、不整地でも床面にならうことができる。接地時は、三脚のような3点支持構成と同等となるため不整地上でも接地性が向上し、歩行時に十分なトルクが得られ、かつ各点は面接触しているため十分な摩擦力も得られる。結果、立位時のバランスを保持しやすく、歩行のための十分な推進力が得られる。

 また、3つの接地片(厳密には接地点)すべてを結ぶことで仮想的に形成される足底平面の法線方向の力を検出するのみで、不整地上でも容易に足底のZMP(Zero Moment Point:床反力の圧力中心点)が計測できる。そのため、高価で壊れやすい多軸力センサを設置する必要はなく、1軸力センサを接地片それぞれに設置すればよい。
 多くの2足歩行ロボットに見られる単一平面の足底では、ZMPの計測に高価な6軸力センサを利用する必要があった。さらに、不整地歩行時には、ZMPの定義そのものから考え直す必要があった。例えば、両足が同一平面上にないときに両足のZMPをどのように統合して定義するかといったことである。この足部機構では単純かつ安価なセンサを使用できるため壊れにくい構造にできるうえ、不整地歩行時のZMPの定義を単純化する効果が期待できる。

 金岡チェアプロフェッサーの研究に対しては、すでにTwitter(ツイッター)などで「搭乗型2足歩行ロボット」の開発が話題になったように、自由民主党の一部若手議員が非公式ながらも、ロボット政策の軌道修正を絡めつつ、今後のわが国のロボット開発における基礎技術(プラットフォーム技術)の一候補として注目するような動きを見せている。本記事で紹介した足部機構はそれを構成する要素技術の1つで、パワー増幅制御とオートバランス制御を組み合わせたハイブリッド制御との組み合わせにより、不整地歩行が可能な搭乗型2足歩行ロボットの実現につながるものと考えられている。

【注釈】
*例えば災害現場などに、すでに発表されている(軌道計画および軌道制御に依存する)2足歩行ロボットをそのまま持ち込んでも、すぐに転倒してしまうが、同機構を足部に付加し、かつ金岡チェアプロフェッサーが提案するハイブリッド制御を組み合わせることで安定歩行を可能にすると期待される。

【参考文献】
[1]金岡克弥,“二足歩行ロボットにおけるオートバランスとパワーアシストのハイブリッド制御”日本ロボット学会学術講演会,2009.


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