RT(Robot Technology)要素応用

2011.03.12
東急建設と日立建機、双腕作業機による分離作業など披露、今月末に試験運用

astaco neo.JPG 東急建設日立建機は、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(2006~2010年度、NEDO)で開発した双腕作業機による廃棄物分離・選別システムを公開。2本のマニピュレータを巧みに操作して複合廃棄物の分離作業や材質の選別が行える様子を披露した(動画1)。今月25日以降に、東京・恵比寿の東急建設の解体処理現場で試験運用を開始する。
 東急建設では2012年より双腕作業機をはじめ開発したシステムを、新たな階上解体工法として提案し、解体工事を受注する。さらに、2014年には建設業者と解体業者を中心とした「工法協会」を発足し、広く利用できる工法へと発展させる。2019年には市場の約15%のシェアを占めると見込む(NEDO中間報告書より)。一方、日立建機は開発した双腕作業機を「ASTACO NEO(アスタコ ネオ)」として商品化。2012年以降に受注対応で市場投入を開始し、導入実績を積み上げたうえで量産化を目指す。

動画1 双腕マニピュレータによる協調作業

 開発したシステムは、大きくは双腕作業機と廃棄物選別機から構成。双腕作業機による複合廃棄物の分離作業を行い、廃棄物選別機でコンクリート、鉄、アルミニウム、木材、廃プラスチックの5品目を素材ごとに判定して選別を行う。選別の精度は、鉄の94.7%からアルミニウムの63.3%までと、いずれも最終目標とする60%以上の精度を実現している。

 システムの詳細を説明すると、双腕作業機は10~13t級油圧ショベル用アタッチメントを装備できる主腕と、解体工事向け多機能ハンドを有する副腕から構成。主腕で複合廃棄物を把持しながら、副腕で廃プラスチックなどを引きはがしたり鉄を切断したりすることができる(動画2)。従来、作業機と作業者が行っていた複合廃棄物の分離作業を1台で行えるようになり、解体作業の大幅な効率化が見込まれる。

動画2 副腕による廃プラスチック材の抜き取り作業

enkaku.JPG また、遠隔操作を見据えた開発も行っており、ハンドリングを行うための対象物認識技術も開発。キャビン上部に搭載したステレオカメラで対象物の形状や体積、重心などを認識し、タッチパネル操作により把持力をはじめ最適なハンドリング計画がなされる(動画3、4)。併せて、対象物の重量判定機能も開発。主腕のシリンダー推力と主腕の構成部材のモーメントから把持力モーメントを推定して重量測定ができる。100kg以上の複合廃棄物の場合は、旋回速度を制限することで安全な解体作業を可能にしている(これらの情報は搭乗時・遠隔操作時ともに表示される)。さらに、主腕と副腕との干渉を防止する機能も搭載している。
 2025年以降には、半自律的による遠隔操作も見据えており、対象物にアプローチするなど典型的な動作は自律で、細かい動作は作業者が行うことを検討している。ただし、GPSなどを用いた自己位置推定による自律的な移動までは検討してない。

動画3 遠隔操作による双腕の協調作業

動画4 遠隔操作による鉄の切断作業

  そのほか、NEDOのステージゲート(2008年度末)通過以降は、CANバスによりベースマシンから車体情報の取得や東急建設の制御システムとのリンクを可能にしたり、操作軸の割り当て変更による操作性の向上を図ったりしている。

  廃棄物選別機は、2台のカメラにより材質判定を行う。形状判定により面積および軸長を推定すると同時に、色と表面の質感から材質を判別し、これらの情報から最も確率の高いものを判定結果として出力する。公開したデモでは、雪の影響もあり、アルミニウムと木材を取り違えるケースが見られた。木材は黒色に変色していることが間々あり、ダイナミックレンジの拡大を図るといった対応が求められるとしている。

 同プロジェクトでは、2012年頃以降を「第1フェーズ」として、開発したシステムを新たな階上工法として展開。2020年頃以降は「第2フェーズ」として遠隔操作に取り組み、2025年頃以降は「第3フェーズ」として半自律による遠隔操作により1人のオペレータで複数台を操作できる工法の実現を目指している。新工法の市場シェアは第1フェーズで15%、第2フェーズで20~30%、第3フェーズで30%以上になることを想定している(NEDO中間報告より)。


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