産業用ロボット

2011.03.03
三菱電機、柔軟なケーブルも扱えるロボットセル公開、要素技術から実用化

 三菱電機は3日、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(2006~10年度、NEDO)で開発した、柔軟物の組付作業が行えるロボットセル生産システムを公開。サーボアンプの組立作業を通じて、2台の垂直多関節ロボットが協調してバラ積み状態のケーブルを取り出して治具に整列したり、コネクタに挿入したりネジを挿入したりするデモを披露した。柔軟なケーブルの取り扱いが可能となり、電気電子部品の組立作業の自動化につながると期待される。同プロジェクトでは終了後3年以内の実用化を求めているが、製品化の時期は未定。まずは、開発した各種センサや制御技術などをシステムインテグレータ(SI)などに提供し、産ロボの適用範囲の拡大につなげることを計画している。

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 3次元センサによるケーブルの認識と配列、力覚センサを利用した組立制御技術により柔軟物の組付作業を可能にした。併せて、コネクタ挿入時の失敗を自動で修正する自動復旧技術の開発により、一連の組付作業の自動化を実現した。一例として、サーボアンプの組立作業を通じて、バラ積み状態のケーブルを把持して治具(もう一方のロボットがケーブルを扱いやすくするための整列治具)に整列したり、ケーブルをプリント基板上のコネクタに挿入したりネジを挿入したりする作業を披露した。人と同等の5分程度でサーボアンプの組立を行う(作業の流れは動画の説明を参照)。

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独自開発した3次元センサ(左)と力覚センサ(右)

 ケーブルの認識は、独自開発の3次元センサにより可能となった。近赤外光を対象物に照射し、反射光が戻ってくるまでの時間を計測するタイプで、容積を約300ccに小型化し、かつ1mmの高精度(空間分解能は0.5mm)での計測を可能にしたのが特徴。また、ダイナミックレンジの拡大により認識が困難な黒色部品にも対応できるようにした。
  公開したシステムでは、把持対象となるケーブルの認識に加え、把持状態を認識するためにもう1台を使用した。前者はエンドエフェクタ部に搭載しており、バラ積み状態のケーブルの中から、それ同士の重なり具合をもとに最適なものを選択し、把持動作を生成する。基本的にはピッキングシステムと同様、バラ積み状態を崩さないよう最上位のケーブルを把持するようにしている。後者は把持したケーブルの状態判定を行うためのもので、把持した角度を微調整して整列治具に取り付ける。
 複数種類のケーブルの認識が可能で、汎用的に利用することができる。また、3次元センサはケーブルの落下や組付ミスなどエラーの種類も認識しており、認識結果にもとづいて自動的に復旧作業を行う。

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バラ積み状態のコネクタの計測例(左)と把持したケーブルの状態判定(右)

 コネクタへの挿入やネジの挿入は、力覚センサを活用した組立制御技術により可能となった。力覚センサも独自開発したもので、スチュワードプラットフォーム構造を有しており、光センサにより歪みを検出する。歪みゲージを利用するタイプと異なり組立時の調整作業が少なく、低コスト化できる点に特徴がある。
 挿入時は力制御に切り換えており、力覚センサの計測値をもとにコネクタの位置ずれなどの動特性を捉え、力制御パラメータをリアルタイムに変更することで高速な位置決めや挿入、位置ずれ時の安全な停止を可能にしている。従来の力制御では見られない高速な組付動作を実現している。ネジの挿入時も同様の制御を行っており、挿入エラーの検知および自動復旧が行える。

 そのほか、GUI上で機能ブロックを並べたり組み替えたりするだけでプログラミングができる教示システムも開発。従来のテキストベースのプログラミングでは約7.5日を要していた作業を、約1.5日に短縮されたとしている。

  公開したシステムは従来、人でしかできなかった柔軟物の組付作業を自動化できることを示すものであり、そのまま生産現場に適用することはない。まずは、開発した各種センサや制御技術などをコンポーネント製品としてSIや社内の生産技術部に提供するかたちでの実用化を計画しており、SIなどが集う協力会議などを通じて運用ノウハウを提供することを予定している。
 また、2011年1月より本格稼働を始めた同社福山製作所のロボットセルラインでは、組立対象の遮断機を設計変更することで自動組立に対応したが、今回は設計変更をしていない。開発した要素技術の実用化により、ロボットセルを前提とした機器設計の検討にも取り組みたいとしている。

 同社が取り組んだ研究開発では、再委託先として名古屋大学と北海道大学、富山県立大学が参加した。

エンドエフェクタ部の3次元センサにより把持対象となるケーブルを認識。把持した後、もう1つの3次元センサで把持したケーブルの状態判定を行い、整列治具に組み付けて整列する。落下した場合は、落下したケーブルを認識して除去する。整列したケーブルをもう一方のロボットの作業台に移動し、また、ハンドを付け替えてプリント基板も搬送する。もう一方のロボットはプリント基板上のコネクタへのケーブルの挿入や基板のネジ締めを行い、最後にケースのネジ締めをしてサーボアンプを完成させる。ロボットのハンドには、ケーブルを把持するためのハンドとプリント基板などを把持するためのハンドの2種類がある。また、プリント基板のネジ締めなどを行う際は、片方のロボットがそれを把持して固定するなど共同作業を行っている。

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説明時に使用したスライド一覧


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