大阪府八尾市の中小製造業などで構成される異業種交流グループ・マテック八尾は12日、八尾市などとの共催で「第3回 八尾ロボットコンテスト(八尾ロボコン)」を市内の大型ショッピングセンターで開催。市内のモノづくり企業と子供との合同チームや大学チームなどが、ニッポンバラタナゴの生態系の回復を目指し、外来魚などに見立てたオブジェなどを配置換えする競技に挑戦した。合同チームが参加するトーナメントA(写真上)では「若ごぼう」チームが、大学チームなどが参加するトーナメントBでは大阪工業大学の「エンジュニアA」チームが、それぞれ優勝に輝いた。次回からは、モノづくり企業と子供それぞれにリーグを創設して競うことを予定している。
八尾ロボコンは、八尾市民にロボットに触れ合う機会を提供し、その可能性を理解してもらうとともにロボット技術への関心を喚起するイベント。マテック八尾 ロボット分科会は「お茶の水博士を育てよう!」をスローガンに活動を展開しており、各種ロボットイベントの開催を通じて、次世代のモノづくり人材の確保で成果を上げつつある。また、参加企業がロボット関連技術を蓄積し、ロボット産業への参入を促す狙いもある。
今回の競技課題は、絶滅危惧種であるニッポンバラタナゴ(コイ科の淡水魚)の生態系の回復を目指し、外来魚などに見立てたオブジェを3分以内に配置換えすること。具体的には、生態系の維持にはヨシノボリ(ハゼ科の淡水魚)と、どぶ貝(イシガイ科の二枚貝)の存在が不可欠とされており、池の外に配置してあるこれらのオブジェ(3つずつ)と、池の中にいるブラックバスやザリガニ、ヘドロのオブジェ(2つずつ)との配置換えをし、所定のスポットに刺す。ニッポンバラタナゴのオブジェは3つあり、競技開始時は池の中に配置してある(写真下、開始前の競技フィールドの様子)。
1つのオブジェを刺すことで5点が与えられる。また、ニッポンバラタナゴとヨシノボリ、どぶ貝については、池の中で3個を一列に配置すればボーナスとして5点が加点され、これらを3列に配置すれば、さらに10点が加点される。すべてのオブジェをスポットに刺せば60点(12個×5点)が得られ、すべてのボーナスを加点する(3列×5点と10点)と計85点(満点)を獲得することができる。
過去の大会では、対象物を搬送したり積み上げたりすることを競ったが、今回はオブジェを±10mm以内で位置決めすることが求められるなど競技レベルが高度になった。各チームにはより高度な制御技術に加え、操縦テクニックも求められたが、競技ルールを的確に解釈した機体設計で臨んだ大工大のエンジュニアAチームが圧倒的な強さを見せた。準決勝では満点を叩き出した。
エンジュニアAチームの機体は4本のアームを搭載した子機と、子機を段差のある池の中に送り込む親機から構成される。4本のアームで池の外にあるヨシノボリ(またはどぶ貝)のオブジェを3つ把持し、そのまま池の中に入って、余ったアームでブラックバス(またはザリガニやヘドロ)を引き抜いてヨシノボリを刺す動作を繰り返すという具合に、効率的な配置換えを披露した(動画:トーナメントB決勝)。またアームの形状も工夫しており、把持する際に前進するとオブジェのイラスト部分が回転してアームの溝に入り込み、走行時に落としにくい状態になる(写真左)。針金を用いた簡易な試作を通じて、見いだした形状という。競技内容に即した機体設計と試作による検証が勝利をもたらした。
トーナメントBの決勝では、前回に引き続き参加した、ペルーのサン・マルティン・デ・ポレス大学チームと対戦。昨年の雪辱を期して、1日12時間もの操作訓練を積んできた同チームでもエンジュニアAチームにはかなわなかった。
トーナメントAでは、ともに親機と子機からなる若ごぼうチームと「えだまめ君」チームが決勝に進出し、延長戦のすえに若ごぼうチームが勝利を収めた(動画:トーナメントA決勝)。トーナメントBでは、1人の操縦者がすべてのロボットを操作するのに対し、トーナメントAでは、複数の子供たちが手分けをして各ロボットを操作する。決勝に進んだ両チームのロボットには性能差はほとんどなく、チームワークの良さが勝因となったと思われる。各トーナメントの勝者が対戦するエキシビションマッチでは、エンジュニアAチームが勝利した。
次回からは、子供たちだけで競うリーグの創設を検討しており、ダイセン電子工業が提供する自律型ロボットの製作キット「Top Junior 3(TJ3)」を利用することを予定している。同社ではTJ3を用いた講習会を開催しており、過去にはロボカップ・ジュニア世界大会のチャンピオンを輩出している。八尾ロボコンの参加者から、同社の講習会にも参加するようなレベルの高い子供たちの育成につなげていきたいという〔ロボット分科会の鈴木謙三会長(たくみ精密板金)〕。
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