サービスロボット

2011.02.18
中京大の赤ちゃんロボに癒し効果、県内企業と10台の試作機を共同開発へ

  中京大学 情報理工学部の加納政芳准教授は、15日開催の「次世代ロボット実証実験 成果発表・講演会」(主催:愛知県、人工知能研究振興財団)で、高齢者や要介護者の意図的な働きかけを促す赤ちゃんロボット「Babyloid(ベビロイド)」の実証実験を報告(写真はあいロボ応援キャラバンのときのもの)。抑鬱(うつ)への効果などが認められたことを明らかにした。2011年度以降は、東郷製作所と共同で電源などを内蔵したタイプを開発する。2年以内に試作機を10台開発し、さらなる実証実験に取り組む。

babyloid.jpg Babyloidは、高齢者や要介護者に世話をされることをコンセプトにした赤ちゃんロボット。ロボットを世話するという役割を与えることで高齢者や要介護者の意図的な働きかけを促し、生きがいを感じさせることにつなげる。

  顔部は、厚さ1.5mのシリコーン樹脂で構成されており、目と口角、顎(あご)に搭載したアクチュエータにより伸張させることで表情を創出する。LEDも搭載しており、涙を流したり頬(ほほ)を赤らめたりすることもできる。額と頭頂に搭載した光センサと、耳部に搭載した焦電センサで人を検知して反応する。
 泣いたり機嫌が悪くなったりするなど、生理的および心理的状態の表出を通してBabyloid自身の状態を、高齢者や要介護者の助けによって改善しよう(自己充足を満たそう)とする。それ以外は何もすることができない。生物と機械との中世的な存在を意図してシロイルカをモチーフにしてデザインされている。

 実証実験は県内の特別養護老人ホームで、5名を対象に2週間にわたって実施。使用前後の心理的変化の評価などを通じて、Babyloidの受け入れ具合と飽きについて調査した。具体的には、抑鬱症状への効果や日々の気分の調査、インタビュー、行動観察などを実施した。また、認知症が進行すると非生物的なものでも受け入れてしまううえ飽きに対する影響も小さいことから、進行していない女性高齢者を対象にした(*)
  抑鬱については、今後さらなる調査が必要としながらも有意傾向が認められたとし、気分についても快方向に増強される傾向があったとした。おおむね受け入れられたといえる。また飽きについては、1回あたりの使用時間は7分前後で、1日当たりの使用時間では最初の週が約90分、次の週は約110分となり、Babyloidとより積極的に関わろうとする傾向が確認された。

 実証 実験を通じて、「被験者に積極的な働きかけを促すことができ、高齢者や要介護者の生き甲斐の創出につながる可能性ある」(加納准教授)とした。今後は、東郷製作所と共同で2年以内に試作機を10台開発し、さらなる実証実験を通じてエビデンスの収集を行う。

  加納准教授は、Babyloidのほか、ビジネスデザイン研究所のコミュニケーションロボット「ifbot(イフボット)」や受付ロボット「Mechadroid(メカドロイド)」のデザインおよび感情表出も手がけている。


【注釈】
*:MMSEによる認知機能水準が30点の高齢の女性を対象に実施した。MMSEとは、認知機能や記憶力を測定する検査方法で、満点は30点。総合得点が21点以下の場合は、認知症など認知障害がある可能性が高いと判断される。

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