国際レスキューシステム研究機構(IRS)と安全工学研究所は共同で、1月28日~2月6日までの計6回にわたり「第5回 サービスロボット初級安全技術者認定講座」を開催。最終日には試験を実施し、合格した13名の受講者に資格認定書を授与した。次回は秋頃の開催を予定する。また、個別企業および機関での同講座の開催にも対応しており、詳細についてはIRS内の事務局に問い合わせてほしい。
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Roombaのリスクアセスメント(RA)(左)とグループによるRAシートの作成(右)
同講座は、製造物責任予防(Product Liability Prevention:PLP(*))の理念を踏まえた、国際的に通用する安全技術者の育成を目的としたもの。PLPとは、設計者が事前の安全責任を果たして、事故に対する免責を確保するという考え方であり、国際安全規格ISO 12100の目的とするところでもある。
また、2009年度から「生活支援ロボット実用化プロジェクト」がスタートしたことに加え、2012年にはパーソナルケアロボットの国際安全規格「ISO 13482」の発行を控えることから、安全性確保への関心は高い。ところが、サービスロボットの分野では日本認証などが実施している「セーフティアセッサ資格制度」のような仕組みがなく、安全性の妥当性を評価できる人材が極めて少ない。国プロなどではフォローしていない、人材育成という切り口からサービスロボット市場の創出に寄与するという狙いもある(現状では、授与される資格認定書は任意となっている)。
前回は、テュフズードジャパン 機能安全部のメンバーが複数名参加するなど海外認証機関の関心の高さが伺えたが、今回は大手産ロボメーカーや大手電機メーカー、大手機械要素部品メーカーなどで実際にサービスロボットの開発に携わる技術者が多数参加し、それぞれの企業で事業化に移行しつつあることが感じ取れた。
初級安全技術者は、サービスロボットに関連する国際安全規格への理解および技術の取得に加え、リスクアセスメント(RA)シートを作成できるレベルを、中級安全技術者は、これらの能力に加え、独りでRAを実施し、かつ製品ライフサイクルを通して安全方策を立てられるレベルを、それぞれイメージしている。同講座では危険事象の抽出およびリスクの評価までを行う。
カリキュラムは、おもに講義と実習から構成される。講義では、国際安全規格ISO 12100の詳細や国際的な安全技術の動向に加え、サービスロボット特有の技術問題などを指導した。ただし現状では、サービスロボットに関する国際安全規格が発行されていないため、その策定に当たって参照される関連規格などを解説した(2012年発行のISO 13482は概念規格になることもあり、講座の内容が大きく変更されるとは考えにくい)。
また、実習では受講生がチームに分かれてRAを実施し、RAシートを作成した。今回からは初めてお掃除ロボット「Roomba(ルンバ)」のRAに本格的に取り組んだ(Roombaは厳密には自動掃除機と説明されている)。Roombaを選択した理由は、「そのRAを通じてサービスロボット特有の課題が見える」(長岡技術科学大学 システム安全系の木村哲也准教授)からで、具体的には、(1)使用環境との相互作業にいる危険事象をどこまで考えるのかが不明、(2)新技術に対する使用者の行動が不明、(3)参考にすべきRAがない、(4)重大な危険事象の抽出は現行規格にもとづいても可能、といった課題を提示した。
受講生が実施したRAではほぼ同様の危険源および危険事象が抽出されたが、講師陣からは「充電器をRoombaの以外の充電に使用しない」「自律移動に伴いペースメーカーなどへの電波干渉を発生する」といった見落としがいくつか指摘された。
Roombaでは附属の「バーチャルウォール」機能により清掃エリアを任意に設定することができ、このような電波干渉を防止できるが、この機能は安全認証を受けたものではない。しかしながら、安全認証を受ければ大幅なコストアップにつながり、低価格で提供するというベネフィットが損なわれる。Roombaの取扱説明書では、こうした事象を残留リスクとして使用者に明示されており、設計者責任が果たされていることが解説された。
そのほか今回は、食事支援ロボット「マイスプーン」とセラピーロボット「PARO(パロ)」のRAにも取り組んだ。
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食事支援ロボット「マイスプーン」(左)とセラピーロボット「PARO」(右)のRAの様子
同講座では実践的なRAを重視しており、認定試験後のパネルディスカッションでは改めて設計段階でのRAの重要性を指摘。「後手々々の事故対策では膨大なコストを要し、企業の存亡につながりかねない。これに対し、設計段階で危険事象を抽出できれば効果的にコストダウンに結び付けられるはずで、(開発の上流工程で)現場で起こり得る事故を先取りし、うまく裁ける素養を身に付けてほしい」(長岡技術科学大学の岩岡和幸客員研究員)と説いた。
なお、本サイトで掲載している連載「4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座」は、同講座の筆記試験をもとに構成している。同講座の概要を知りたい方は参照してほしい。また、認定試験で行うRAは「基本能力(30点)」と「危険源同定能力(120点)」で採点を行っており、基本能力は危険源と危険事象がきちんと対応しているかと、リスクの見積もりが加点法により適切な手順でなされているかをもとに判定。危険源同定能力についてはISO 14121付属書Aの危険源チェックリストにもとづいて対象の危険源と対応する危険事象を同定する能力をもとに判定している。
●問い合わせ先
サービスロボット初級安全技術者認定講座事務局
(国際レスキューシステム研究機構 神戸ラボラトリー)
E-mail:tanimura@rescuesystem.org/FAX(078)641-2840
【注釈】
*:正当な手続き(インフォーム)によって許諾(コンセント)される事故は免責されるという考え。安全の認証を示すCEマーキングによって設計者が事前に安全の責任を果たす。製造物責任(PL)に対して、PLPと呼ばれている。PLPは、EC市場統合の準備として計画され、EUの発足とともに実行に移されている。ゆえに、国際規格(ISOおよびIEC)は、PLPの体系を継承していることになる。
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第1回 サービスロボット安全概論 【設問編】
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第3回 機械安全規格概論 【設問編】
第4回 リスクアセスメント規格 本質的安全設計とその他の保護方策【設問編】
►特集「生活支援ロボット安全検証センター始動!設立の背景と課題を探る」
►再来年には発行!パーソナルケアロボの国際安全規格ISO 13482(トレンドウォッチ)


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