行政・施策

2010.12.27
産総研など、生活支援ロボ安全検証センター公開、認証システムの構築目指す

 産業技術総合研究所日本自動車研究所(JARI)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は27日、茨城県つくば市に新設した「生活支援ロボット安全検証センター」(写真は外観)を公開した。2009年度よりスタートした「生活支援ロボット実用化プロジェクト」の安全検証拠点として設立した施設で、参加企業が開発する4タイプの生活支援ロボットを対象に、本質安全および機能安全に関する各種試験を実施し、安全認証を行う(プロジェクト期間内は「模擬認証」)。2013年度末までに各種試験技術の構築や安全認証に必要なデータの蓄積などに取り組み、ワンストップでの認証サービスの確立につなげる。

DSCF7171.JPG  JARIの敷地内に位置し、敷地面積は3,600㎡。平成21年度補正予算「生活支援ロボット安全性検証研究施設整備」事業として、6億2,000万円を投じて建設した。建物は産総研が所有し、3者で運営する。
 生活支援ロボットの安全検証を行う施設は韓国・大邱(テグ)市に存在するが、「お掃除ロボットを対象に検証している程度」(産総研 ディペンダブルシステム研究グループ 大場光太郎グループ長)。本質安全が達成されているかを検証すればよいレベルであり、生活支援ロボットの機能安全を検証する施設としては世界初となる。

  同センターは大きくは、「(1)走行試験関連エリア」「(2)対人試験関連エリア」「(3)強度試験関連エリア」「(4)EMC試験関連エリア」の4エリアから構成され、計17の試験装置を設置(試験機の構成は文末を参照)。
  一部を紹介すると、(1)で公開したシステムは「3次元動作解析装置」と「障害物接近再現装置」。移動ロボットが周辺の人や物、障害物などと接近した際に適切な検知と対応が行えるかを検証するもので、赤外線LED照明一体型高速カメラによりロボットとダミーに付加したマーカを捉え、3次元で動作解析を行う。ダミーは障害物接近装置により人の移動を模擬的に再現することができる。デモでは、富士重工の清掃ロボット(移動速度50cm/s)と綜合警備保障の警備ロボット(30cm/s)が歩いている人に接近し、安全な減速と停止、ダミーが通り過ぎた後の安全な移動の再開が行えるかを検証する様子を披露した(動画1)。
  (3)では「ベルト型走行耐久性能試験機」と「装着型生活支援ロボット耐久試験機」を公開し、サイバーダインのロボットスーツ「HAL福祉用」を例に個人差の影響を受けずに長時間一定動作が行えるデモを行った(動画2)。

 プロジェクト終了後は、各種試験を実施するJARIが施設を所有し、安全認証は日本品質保証機構(JQA)の認証審査官が行う予定(計画では2015年度までに5名の審査官を育成する)。ただし当面は、各種試験や安全認証を行う機会が少ないために経営リスクを伴うことが想定される。「茨城県やつくば市をはじめとする自治体やロボットメーカーなどとともにコンソーシアムを組み、ここから支援を受けることを検討したい」(大場グループ長)という。
 また、2012年に発行予定のパーソナルケアロボットの国際安全規格ISO 13482に対し、約3年後の改訂に向け同プロジェクトの知見を盛り込む。具体的な数値を開示することになるが、「例えば、開発した試験装置でなければ検証できないような数値を盛り込むことで、わが国が国際的に優位性を保てるようにする」(同)。なお、施設の詳細や課題などについては後日、詳解する。

「生活支援ロボット安全検証センター」の概要
●走行試験関連エリア
:多目的走行性試験路、傾斜走行性試験路、環境認識性能試験装置、ロボット走行状態模擬装置、3次元動作解析装置、障害物接近再現装置
●衝突安全性試験関連エリア
:衝突安全性試験機、静的安定性試験装置、人体ダミーとダミー検定装置、
●強度試験関連エリア
:複合環境振動試験機、衝撃耐久性試験機、耐荷重試験機、装着型生活支援ロボット耐久試験機、ドラム型走行耐久性能試験機、重心移動制御装置、装着型生活支援ロボット強度試験機、
●EMC試験関連エリア
:電波暗室


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