富士重工業 クリーンロボットプロジェクトの上席技師であり、埼玉工業大学 工学部の青山元教授は、25日開催の「農業RT研究会セミナー」(主催:岡山県産業振興財団)で昨年11月に発表した「薬剤注入ロボット」の事業化に触れ、早ければ年内にリース会社に加え、ユーザー企業と共同で土壌消毒サービスを提供する農業法人を成立する考えを明らかにした(下図)。「シロアリ防除サービスのようなビジネスモデルをイメージ」しており、まずは法人化に伴う制度上の課題を洗い出し、開発や製造などにフィードバックする。同社では5年後の同ロボット事業の売上高が16億4,000万円程度になると予想している。
同ロボットは、農林水産省の「次世代園芸ロボット技術導入検証事業」で開発したシステムで、耕作後に、土壌消毒に使用する薬剤を自律走行して自動的に注入する。レーザ三角測量によりビニールハウス内での位置や方向を認識し、直進やターンなど状況に応じた自律走行が行える。自律走行タイプに加え、遠隔操縦タイプもある(システムの詳細はこちら)
同ロボットの事業化ではまず、5年後に見込まれる売上高(市場規模)に言及した(上図)。想定価格は、自律走行タイプを500万円、遠隔操縦タイプを250万円、耐用年数をともに5年、販売見込み件数を、前者が全国の法人農家(1万3,186社:2000年2月時点)の5%に相当する659社、後者が同15%に当たる1,977社として換算。年間当たりの販売台数は、前者が131台、後者が395台となり、5年後には両方を合わせた単年度の売上金額が約16億4,000万円になるとした。
この概算を踏まえて、それを達成するための事業モデル(図下)に触れ、リース会社と土壌消毒請負会社(農業法人)を設立するとともに、リース会社を通じての消毒請負会社へのリース販売や、グループ企業の富士重工業産機販売による消毒請負会社や法人農家への販売委託、さらには、消毒請負企業による土壌消毒サービスの展開、という事業構想を紹介した。同ロボットの低価格化を図るため、併せて農機具メーカーとの部品の共用化にも取り組む。
設立する消毒請負会社は、シロアリ防除サービスのような事業モデルをイメージしており、これらの業態をもとに妥当なサービス価格を検討する。また、「(農業分野において)このような業態の法人化に伴い、どのような問題を生じるのかも検証したい」と話した。早ければ年内に設立する。なお、このような製造・販売ルートは、有能なベテラン技術者の海外流出を防ぐという意図から、同社OBの起用により構築する。
セミナーでは開発中の専用部向けオフィスビル清掃ロボットの開発にも触れ、実証実験を行っている晴海トリトンスクエアのように、稼働環境がある程度整備された空間に向け提供する意向を示した。また、この考えをさらに発展させ、開発パートナーの住友商事と同社グループ企業の日建設計と共同で、ロボット清掃が行いやすいビルの設計に着手していることを明らかにした。
なお、今後の清掃ロボット市場に関しては、駅ビル空間が商業施設化するのに伴い、清掃品質(*)がデパートやオフィスビルに並みに求められるとし、オフィスビル専用部とともに重要なマーケットとなるとの見方を示した。
【注釈】
*:オフィスビル共用部向け清掃ロボットでは、清掃コストの削減が注目されたが、清掃品質の向上も両立したことでも評価されている。つまり、共用部の清掃作業の自動化により、この部分の清掃品質を安定し、同時に、清掃スタッフが専用部などの清掃に専念できる状況を創出することでビル全体の清掃品質をの向上につなげた。住商が本社機能を置く晴海トリトンスクエアでは「継続的な清掃品質の維持」が重要な課題にあがっており、清掃ロボットの導入には、これらの両立が欠かせなかった。
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