国際レスキューシステム研究機構(IRS)と安全工学研究所などは共同で、1月29日~2月7日までの計6回にわたり「第4回 サービスロボット初級安全技術者認定講座」を開催(写真は、RAの進め方を指導するシステムセーフティテクノロジの奈木勉チーフアドバイザー)。最終日には試験を実施し、合格した7名の受講者に資格認定書を授与した。
同講座は、製造物責任予防(Product Liability Prevention:PLP(*))の理念を踏まえた、国際的に通用する安全技術者の育成を目的としたもの。PLPとは、設計者が事前の安全責任を果たして、事故に対する免責を確保するという考え方であり、国際安全規格ISO 12100の目的とするところでもある。
また、「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(経済産業省)の開始に伴い、その安全性確保などを評価・検証する拠点整備が進められているが、評価者の育成の不備が指摘されている。ロボット開発企業における安全技術者も著しく不足しているという事情もあり、人材育成という切り口から生活支援ロボットの安全性確保に寄与しようとする同講座の主旨は注目を集めている。
初級安全技術者は、サービスロボットに関連する国際安全規格への理解および技術の取得に加え、リスクアセスメント(RA)シートを作成できるレベルを、中級安全技術者は、これらの能力に加え、独りでRAを実施し、かつ製品ライフサイクルを通して安全方策を立てられるレベルを、それぞれイメージしている。
カリキュラムは、おもに講義と実習から構成される。講義では、国際安全規格ISO 12100の詳細や国際的な安全技術の動向に加え、サービスロボット特有の技術問題などを指導した。ただし現状では、サービスロボットに関する国際安全規格は存在しないため、その策定に当たって参照される関連規格などを解説した。
また、実習では受講生がチームに分かれてRAを行い、RAシートを作成した。静止画像と動画、実機の3タイプの例題に段階的に取り組んでもらい、かつ実機での実施を複数回経験できる構成にしている。RAをテーマにした講習会の多くは静止画像を使って実施されるが、実際の開発現場と乖離しており、現場で役に立たないことが多い。こうした問題を踏まえての構成であり、実機でのRAを徹底している点に大きな特徴がある。
今回、実機でのRAでは丸鋸盤と米iRobot社のお掃除ロボット「Roomba(ルンバ)」を対象に実施した。
丸鋸盤のRAは、日本製とドイツ製を比較しながら解説がなされた(写真1)。丸鋸盤の保護カバーは安全防護として付加されているが、日本製はテープで固定したまま使用できるうえ、汎用的なねじで取り付けられているため容易に取り外すことができる。これに対し、ドイツ製はテープで固定をすると稼働しないうえ、取り外しにくい設計にしている。しかも、日本製よりも低価格で購入することができる。
国際安全規格では、このような"ごまかし"を防ぐ手段を講じることを要求しているが、「開発の初期段階で対策を検討しておけば、低コストかつ安全な製品を設計することができる。サービスロボットの設計では、このような感覚が求められる」と、講師を務めた長岡技術科学大学の木村哲也准教授は解説した(写真2、写真3)。
写真1 丸鋸盤を対象にしたリスクアセスメント。チームによるRAの実施前に、丸鋸盤の基本的な扱い方を紹介した。左が日本製、右がドイツ製。
日本製とドイツ製の丸鋸盤を比較しながら、安全防護を容易に解かれないような設計をすることの重要性を解説する長岡技術科学大学の木村准教授(写真2、左)。作成したRAシートの一例。一概に多くの危険源を同定すればよいというものではないとしながらも、「10個以上が挙げられればまあまあ、20個以上を挙げられれば相当なレベル」と、木村准教授は解説する(写真3、右)。
Roombaを対象にしたRA(写真4)では、Roombaが(自律)移動しながら清掃を行うことから、安全性の確保には使用環境への依存度が高いとし、取扱説明書の使用条件を中心に解説した。記載されている「破損するおそれのある物」「ルンバを故障させる物」「ルンバの防止を妨げる場所」といった内容は、開発側が残留リスクをどのように捉えているのかを読み取ることができ、このように「まずは、危険源を同定できる素養を身に付けて欲しい」(同)と説明した。
写真4 Roombaのリスクアセスメントに取り組む受講生
また、Roombaには段差検知センサを有しているが、段差のあるところや高所での使用を禁止している。安全関連部位ではなく「付加的な機能として実装していることを読み取ることができ、本質安全設計により安全性を確保している。量産が期待できない現状のサービスロボット市場を考慮すると、同様に、本質安全設計により安全性を確保することを考えるべき」との考えも受講生に示した。
次回の講義は、今回と同様、1月下旬から2月上旬での開催を予定。また、6月下旬~7月上旬をめどに上位版となる「中級安全技術者認定講座」の開催も予定している。
■注釈
*:正当な手続き(インフォーム)によって許諾(コンセント)される事故は免責されるという考え。安全の認証を示すCEマーキングによって設計者が事前に安全の責任を果たす。製造物責任(PL)に対して、PLPと呼ばれている。PLPは、EC市場統合の準備として計画され、EUの発足とともに実行に移されている。ゆえに、国際規格(ISOおよびIEC)は、PLPの体系を継承していることになる。
■関連サイト2009.01.09 IRSと安全工学研、23日より第3回サービスロボット初級安全技術者認定講座を開催
http://www.robonable.jp/news/2009/01/20090109-irs233.html


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