茨城県は、一般会計規模が前年度比6.5%増となる1兆1,077億円の2012年度当初予算案を発表した。ただ、東日本大震災からの復旧・復興費用として計上した1,062億円を除くと同3.7%減の1兆15億円となり、厳しい財政状況下での予算案となったことが伺える。20日の定例会見で橋本昌知事は「引き続き、東日本大震災からの復旧・復興を第一に考え、被災者支援および産業支援を行っていく」と述べた。

 国の「国際戦略総合特別区域」の指定を受け、生活支援ロボットの実証実験を支援する「生活自立支援ロボット技術実用化研究促進事業」()を新規に立ち上げ、3,200万円の予算を配分した。
 身障者の自立支援に向け研究開発に取り組むロボットベンチャーの支援を目的としたもので、開発を委託し、独法や大学と連携して推進してもらうことを想定。また、実際に身障者に利用してもらって課題を抽出してもらい、実用化を加速する。具体例として、ライフロボティクス(産業技術総合研究所)が開発するロボットアーム「RAPUD(ラプド)」のような上肢身障者向けロボットアームの開発をあげている。

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 これまで茨城県では、2009~11年度にわたり筑波大学のロボットスーツ「HAL」を県内の医療大学や病院などに導入し、実証実験を通じてHALの改良に加え、医療現場での運用モデルの構築に向け支援してきた。2009年度補正予算で「生活支援ロボット開発支援事業」として1億5,700万円を計上している。
  なお、HAL福祉用の運用評価については、かながわ福祉サービス振興会 介護ロボット推進室が「介護ロボット普及推進事業」の中で報告書を取りまとめており、参考になる情報を提供している。


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 シード・プランニングは、国内の家庭向け自走式クリーナー(お掃除ロボット)の市場動向を発表し、2016年には2010年比2.7倍の70万台となり、掃除機市場全体(500万台)で14%を占めると予測した()。2010年の国内販売台数約26万台のうち、米iRobot社の「Roomba(ルンバ)」が20万台と8割程度を占め、2004年の発売以来、累計35万台を突破。米国に次ぐ販売台数となった。

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 500名のユーザーを対象にした調査結果も公開し、うち74.6%がRoombaを購入。5.4%が東芝ホームアプライアンスの「Smarbo(スマーボ)」を、5%中国・太知ホールディングスのロボクリーナーを購入した。また、その購入時期は直近の2年が多く、全体の7割近くを占めた。

 購入理由については、「便利そうだった」が64.0%、「掃除が楽になると思った」が54.4と、「お掃除ロボット」というイメージから、自動化・省力化に役立つと受け取られた一方で、「ロボットに興味があったから」は28.8%にとどまった。ロボットへの関心度は、購入理由には関係なかったようだ。
 購入後の満足度は、Roombaが72.1%、Smarboが81.5%と高かったのに対し、ロボクリーナーは36%にとどまった。


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《連載》
「新産業の創造に挑む!なにわのロボット商人たち」
第14回 「実用的なお掃除ロボットで新たなライフスタイルを提案したい」
~通販業界で多くのアイデア商品を創造する企画開発メーカー~スリーアップ 辻野 真介さん

 

 日立製作所は21日、物体認識および物体探索技術を実装した案内・巡回ロボット「EMIEW 2(Excellent Mobility and Interactive Existence as Workmate2、エミュー)」(写真)を発表した。人が物体を見せて、その場所を尋ねると、複数台のネットワークカメラを用いて該当する場所を探し出し、そこに案内することができる。また、新開発の姿勢制御技術も実装しており、急なカーブや連続したカーブでも速度を落とすことなくスムーズに移動することができる。より円滑な案内サービスの提供に向け、開発を継続していく。

emiew2.PNG  Web上から自動収集した画像データを使って物体を識別する「物体認識技術」と、複数台のネットワークカメラと連携して該当する場所を探し出す「物体探索技術」を開発、実装した。
 前者は、人が物体を見せて尋ねると、Web上から自動収集した画像データから類似画像を検索し、そのテキスト情報から物体の名前を推定して読み上げる技術。カメラで認識した画像の色分布や形状などから特徴量を抽出し、それをもとに該当する物体の画像を検索する(*)
 Web上から自動収集した画像は、その色合いや質感、構図のなどをパラメータとする特徴量と、画像に付随したテキスト情報と対応づけた状態で保持している。そのため、類似画像を検索すれば、その物体のテキスト情報も引き出すことができ、統計処理により名前を推定できる。

*NTTドコモでは以前、米Evolution Robotics社の「ESRP Vision」を活用した携帯電話向け画像認識・検索サービスを行っていた。各物体の特徴点を用いて認識しており、カメラで捉えた物体の特徴点と事前に登録した特徴点が閾値以上に合致すれば、同一であると認識する。具体的には、物体の白黒の変化量をベクトルに変換し、それを特徴点として捉えている。1つひとつのベクトルには絶対座標がないため、認識物体の方向やサイズが違っても認識できる。

  後者は、物体の名前を尋ねられると、屋内に設置した複数のネットワークカメラで撮影した画像から、その所在を特定する技術。前者の物体認識技術で推定した物体の名前に、ネットワークカメラで撮影した位置や時刻などの情報を付与しており、これにより物体の所在を特定しつつ音声対話による回答を可能にした。

  また、カーブ走行時の遠心力の変化を予測して姿勢を安定する姿勢制御技術も実装した。遠心力の変化に対し最適な姿勢をリアルタイムに算出することができ、姿勢の傾きを補正するアクティブサスペンション機構との組み合わせによりスムーズなカーブ走行を可能にした。2010年に発表した前モデルでは段差乗り越え機能を搭載していたが、同制御技術の実装により、より円滑な案内サービスの実現につながると見込まれる。
 なお、物体認識技術については、3月15日と16日開催の「情報処理学会 第181回 コンピュータビジョンとイメージメディア研究発表会」で紹介する。


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《ロボット業界最前線》
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  富士重工業は20日、同日発表した同社クリーンロボット部における委託事業・補助金事業に関する不正受給について(詳細はこちら)、不正行為の全容が解明されるまで、補助金の交付停止ならびに委託契約の締結をしないとの通知を、経済産業省より受けたと発表した。同社は、2009~13年度実施の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(NEDO)に参画しており、同プロジェクトでの受給が該当する。富士重工では、公式に発表していないが、2010年10月時点でロボット事業から撤退する方針を固めており、また、不正受給による社会的な影響を踏まえ、同プロジェクトから撤退する。

 同社広報部によると、不正受給の対象となる事業(開発プロジェクト)は、経産省およびNEDOプロを中心に計8件に上るとしている。
 具体的には、「サービスロボット市場創出支援事業」「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(経産省、2件)、「次世代ロボット実用化(万博)プロジェクト」「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(NEDO、3件)、「対人地雷探知・除去技術の研究開発の推進」の開発委託と開発助成(JST、2件)、「産学人材育成パートナーシップ事業」(関東経済産業局、1件)となる(ただし、次世代ロボット知能化技術開発プロジェクトはNEDO担当であり、また、サービスロボット市場創出支援事業では同社の開発テーマが2件採択されており、結果的に8件になるが、カウントの仕方は正しくないと思われる)。

 生活支援ロボット実用化プロジェクトでは、「研究開発項目(2)安全技術を導入した移動作業型(自律が中心)生活支援ロボットの開発」を担当しており、リスク低減手法の開発ならびに安全技術の実装に加え、構築した安全性試験をクリアすることを最終目標としている()。中間年となる2011年度から参加した開発グループを合わせると、綜合警備保障などに加え、ダイフクと、日立産機システムと日立プラントテクノロジーの計4つの開発グループが同様の研究開発に取り組んでいるが、想定する利用環境が著しく異なるため、求められるリスク低減手法や安全技術が異なる。他グループの知見で補うのは困難である(*)

*:駅や空港など公共空間における清掃ロボットの開発で得ようとする知見については、総合警備保障などのグループの知見を応用できると思われる。

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図1 生活支援ロボット実用化プロにおける富士重工の開発項目

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図2 プロジェクト終了後の実用化構想

 「生活支援ロボット安全検証センター」での試験項目については、すでに計12項目を開発し、それにもとづく試験を実施している。類似の構造や用途、利用環境を想定するロボットに対し、十分に適用可能と判断される(詳細は末尾の事業原簿を参照)。また同プロジェクトでは、終了後の2015年頃に予定されるパーソナルケア・ロボットの国際安全規格「ISO 13482」の改訂時に具体的な数値や基準を提案することを予定するが、試験項目を反映したものなるはずであり、安全検証手法の研究開発を担う産総研などが担当するので問題はない。

 一方、リスクアセスメント手法および、それにもとづくリスク低減技術、安全技術などのノウハウは本来、実施者である富士重工に帰属するものだが、同社が抜けるため、また不正受給による開発であるため、これらの扱いをどうするかが今後の重要な検討課題となる。

 同プロジェクトを管轄するNEDOでは、公益性を重視してノウハウを喪失しない方向で検討を始めており、富士重工のロボット事業の移管先に継承することを視野に入れている。しかし、移管されるか否かも不明なため具体化しにくい状況にある。クリーンロボット部内では2010年10月に事業撤退の方針を受けて以来、外注設計会社などとジョイントベンチャーを立ち上げ、プロジェクト終了後は、そこで事業継承することを構想していたが、今回の件で不可能となった。残った開発メンバーが独立して継承するのかも不明であり、事業パートナーの住友商事グループの方針もわからない状況にある。
  NEDOとしては、例えば2009年に申請・取得した関連特許の譲渡など、富士重工側には開発資産およびノウハウの継承に向け可能な限り協力を求めていきたい、としている。

●「生活支援ロボット実用化プロジェクト(中間評価)分科会
●「生活支援ロボット実用化プロジェクト中間評価 事業原簿


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 大阪市は20日、一般会計が前年度比11.9%減の1兆5,163億円となる2012年度当初予算案を発表した。今後の市政改革に向け、おもな産業政策を含む検討対象事業はゼロまたは4カ月分計上する暫定的な予算としたため、前年度を下回った。2011年度ベースで試算すると約535億円の収支不足が見込まれるが、大阪府市統合本部や改革プロジェクトチームで検討する市政改革により、補填財源に依存しない予算編成を目指す。本格予算は7月をめどに編成する。

 ロボット関連予算では、経済局が「健康・医療分野のビジネス創出事業(ロボットテクノロジー・ヘルスケア)」に、7月までの4カ月分として4,200万円を計上。ロボット技術を活用した介護・医療機器の開発やサービス創出の促進を目的とするもので、計16件の事業プロジェクトの立ち上げを目指す。
 また同事業の枠組みで、市内企業によるロボット技術の海外展開を支援する。海外での見本市への出展を通じて販路開拓を支援することを計画しており、現在、4月にデンマークで開催されるヘルスケアの専門展「CareWare2012」への出展者を募集している。


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 モノづくり日本会議 ロボット研究会と神戸RTビジネスプラットフォームは3月23日(金)、ロボット技術を活用した介護現場におけるニーズの把握を主題に「ロボットテクノロジービジネスセミナー/ロボット研究会in神戸」を開催する。場所は神戸市立地域人材センター(神戸市)。参加費は無料。定員は100名まで。詳細は文末を参照してほしい。

  ロボット技術やセンサ技術を活用した高齢者の生活のモニタリングを通じて、それぞれの高齢者に適した生活支援の提供や、潜在ニーズの抽出による開発すべき支援機器の明示などを考察する。これに関連して東京大学の佐藤知正教授と、産業技術総合研究所の西田佳史氏が講演する。西田氏からは拡張ICF(国際生活機能分類)にもとづいた生活データの活用方法ならびに生活者の理解が解説される。

 また、介護現場のニーズの把握とロボット技術の活用に向け、パネルディスカッションではノーリフト協会の保田淳子代表やニチイ学館の伊藤健三執行役員らを交えて議論する。


ロボットテクノロジービジネスセミナー
●日時:2012年3月23日(金)
●場所:神戸市立地域人材センター(神戸市)
●参加費:無料(定員100名)
●プログラム
・基調講演1「生活機能統合サービスによるライフイノベーション(コミュニティデザイン)の実現~コミュニティベーストロボティクス~」(東京大学 佐藤知正氏)
・基調講演2「拡張ICFに基づく生活データの総合的活用による生活者の理解」(産業技術総合研究所 西田佳史氏)
・パネルディスカッション
(パネリスト:東京大学 佐藤知正氏、産総研 西田佳史氏、大阪大学 石黒暢氏、日本ノーリフト協会 保田淳子氏、ニチイ学館 伊藤健三氏、コーディネーター:ロボットビジネス推進協議会 石黒周氏)
●申し込み先
モノづくり日本会議HPまで
 

  千葉工業大学が福島原発事故対応に向け機能強化した「原発対応版Quince(クインス)2号機」「同3号機」が20日、福島原発に向け出発した(写真、千葉工大提供)。東京電力の要請を受け、1月30日に発表したものにカメラの設置位置を変更したほか、建屋内でスタックしている1号機の通信ケーブルを切断する機構を追加した。2号機原子炉建屋内の燃料プールの撮影や空間線量の計測などで活用される見込み。

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  原子力委員会の中長期措置検討専門部会では、使用済み燃料プールからの燃料体(燃料棒)の取り出しなどに向け遠隔操作技術が求められることを取りまとめている(詳細はこちら)。それに向け、燃料プールの状況把握が欠かせないが、周囲に高さ約1.2mの防護壁が設置されており、確認できない状況が続いている。2号機の前方カメラの設置位置を40cm程度高くすることで、プール内の燃料棒の撮影に対応できるようにした(下)。
  また、2号機原子炉建屋内の3階付近では、昨年10月のミッションで通信ケーブルの断線によりスタックしたままとなった1号機があり、その通信ケーブルが障害となることが懸念されることから、切断するためのカッター機構を追加した。

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 1月30日に発表した2号機(左)と2月20日に公開した2号機(右)。前方カメラの設置位置を高くしている

 同大学 未来ロボット技術研究センターの小栁栄次副所長は、「ロボットに求められる機能や性能が具体的になり、改良しやすくなった」とコメント。そのうえで「3~5年後に要求機能がより明瞭になれば研究の方向付けが行いやすく、ロボットの開発ならびに廃炉に要する期間を短縮できる」と、ロードマップの提示を求めた。

 1月30日付けの記事で紹介したが今回、投入される2号機と3号機は、通信ケーブルの断線により帰還できなくなった1号機の教訓を踏まえ、バックアップ用の通信機能として無線通信機(2.4GHz帯)を搭載する。通信ケーブルが切断した際は、もう1台のQuinceを救助ロボットとして投入し、その無線通信による支援を受けることで原発建屋内から救助することができる。詳細はこちらを参照してほしい。


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《コラム》
fuRo先川原室長のロボヤマ話
第50回 クインス貸与式、3D映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」

 エウレカコンピューターは、体感型電子ゲーム「eスポーツグラウンド」(写真動画)を発売した。床面に映し出されたゲーム画面の中にプレイヤーが入り込み、高速カメラによりプレイヤーの動きを認識することで、その動きをゲーム画面に反映することできる。エアホッケーやサッカーなどを仮想空間で楽しむことができる。価格は360万円。スポーツクラブやアミューズメント施設などに向け、2012年度に100件の導入を目指す。2011年9月にはルネサンスが導入することを発表している。

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 6.4m×4mのコート上に、プロジェクタでゲーム画面を表示し、上方4カ所に設置した高速カメラによりプレイヤーの手足や全身の動きを認識して、ゲーム画面に反映する。例えばブロック崩しでは、プレイヤーがバーの役割を果たし、素早く動くことで画面上の球を跳ね返すことができる。
 1ゲーム終了後、成績やランキング情報に加え、ゲーム中の移動距離も表示されるため、運動量を確認することも可能。将来的には消費カロリーの表示にも対応する。

 複数の人が同時に遊べるのも特徴。山下寿也社長は「ボールなど物体を使わないので安全性が高いスポーツといえる。高齢者ら幅広い層のコミュニケーションツールとして広めたい」としている。


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 富山県は、一般会計が前年度比1.8%減の5,498億円となる2012年度予算案をまとめた。2008年度以来4年ぶりのマイナス予算となったが、経済・雇用、産業振興や医療福祉などの政策経費は同2.7%増の2,507億円とした。

 円高やデフレ対策として中小企業融資全体で706億円の新規融資枠を確保。中でも、航空機やロボットなどの先端ものづくりや再生可能エネルギー、深層水分野などの強化に向け「新成長産業育成支援資金」を創設し、新規融資枠として20億円を計上した。
 また、前年度に引き続き、産学官連携による次世代ロボットの研究開発を支援する「次世代ロボット技術開発支援事業」に415万円を計上。2件を採択し、1件当たり200万円を支給することを予定する。

 そのほか北陸新幹線整備負担金や伏木富山港の機能向上など社会資本整備費として1,011億円を盛り込んだ。


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 富士重工業は20日、同社のクリーンロボット部における不正経理と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などからの委託事業・補助金事業において水増し請求があったことを明らかにした。循環取引などの不正経理を通じて、外注取引先に計1億600万円の過大支出が発生したほか、委託事業・補助金事業での不適切な受給が約1億9,400万円に上った。17日付で元クリーンロボット部長を懲戒解雇したのに続き、本日付けで栃木県警に告訴した。

 富士重工は2010年10月時点でロボット事業から撤退する方針を固めており、以降、新規開発は行っていない。クリーンロボット部内では、外注取引先の1つであり、元部長が設立に関わった外注設計会社(2009年6月設立)とジョイントベンチャーを立ち上げ、ロボット事業を継承することを構想していた。今回の件で、その構想は困難となり、同社のロボット事業はほぼ完全に解消されることになる。また現在、参画している「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(2009~2013年度、NEDO)からも撤退する。同社では今後、1億9,400万円に上る不正受給の返還に向け不正行為の全容解明に当たる。元部長は不正経理の事実を大筋で認めている。

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写真 2011国際ロボット展で公開したオフィス専用部向け清掃ロボット。開発パートナーの住友商事は今後、清掃ロボット事業を継続するか選択に迫られる

 クリーンロボット部の赤字決算の回避ならびに事業継続を目的に不正行為を行った。背景には、同社内でロボット事業が極めて軽視されていることがある。富士重工では清掃ロボットを含むサービスロボット市場が小規模であり、かつ既存事業との関連性が薄いと見なしている。

 1999年にエレベータ連動タイプの清掃ロボットシステムを開発して以来、クリーンロボット部は清掃ロボットを中心にロボット事業を展開してきた。新規事業でありながら、当初から赤字決算を出さないことが事業継続の条件とされ、かつ会社側から開発資金がほとんど拠出されなかった。
 委託事業・補助金事業に過度に依存するようになり、2004年以降、経済産業省およびNEDO関連だけでも、「次世代ロボット実用化プロジェクト」(NEDO、2004~05年)、「サービスロボット市場創出支援事業」(経産省、2006~07年)、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(NEDO、2007~11年度)、「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(NEDO、2009~13年度)の委託を受けるが、事業終了後に補助金が支給されるプロジェクトが含まれ、開発および運転資金が手元にない状況だった。結果、一連のプロジェクトで受給した開発資金をもとに循環取引に手を染めるようになり、これにより赤字決算を回避していた。

 富士重工の発表によると、まず不正経理については、2005~10年度の間に、複数の外注取引先への架空発注により約2億6,600万円を引き出し、これを原資に外注取引先にクリーンロボット部の製品を約2億4,600万円で買い取らせることで売上高を粉飾。一連の循環取引により約2億円の損害を富士重工に与えたとしている。また、特定の外注取引先への架空発注により7,200万円を引き出し、これを預け金としてプールしたほか、上述の外注設計会社への水増し発注などにより1,400万円を引き出し、元部長が設立に関わった外注設計会社に資金を移転したとしている。
 リリースでは「私的流用」との文言が出てくるが、外注設計会社のほか、元部長の個人会社にも一部資金が流れたことから、このような表現を用いている。

 また不適切な請求については、科学技術振興機構(JST)などからも助成金を受けており、上述の事業を含めて計8件の事業から10億5,600万円(*)を受給。うち約1億9,400万円を不適切な請求により受給した。部品製作費や図面作成費など外注取引先の架空請求や外注取引先からの水増し請求、労務管理費の水増し請求などが含まれる。上述の循環取引の原資に利用されており、循環取引には2004年から7年間にわたり、年間2,500万円強を充てている。計2億円弱に上ることから、上述の約1億9,400万円をほぼそのまま充てたと見られる。また、富士重工の発表では同社に2億円の損害を与えたとしているが、この資金が大半を占める。

*:NEDOプロのみに言及すると、次世代ロボット実用化プロでは委託分が1億8,700万円、補助分が約2億3,600万円の計4億2,300万円、次世代ロボット知能化技術開発プロでは1億9,800万円、生活支援ロボット実用化プロでは3年間で2億4,300万円の受給を受けた。NEDOでは今後、受給金額の返納などに向け富士重工と協議に入る。

 富士重工の発表では、ロボット事業は縮小・撤退を視野に入れた見直しを図るとしているが、2010年10月にはすでに撤退を決定しており、以後、新規受注を受け付けていない。2010年度の売上高は2億1,700万円にとどまった(年間約4億円の売上高で推移)。受注製品を納品した後は、メンテナンスおよびアフターサービスのみの事業となる。
 クリーンロボット事業部の開発スタッフは大学でも教鞭をとることから大学発ベンチャーを立ち上げてもらい、外注設計会社とのジョイントベンチャーによりロボット事業を継承することを構想していたが、今回の件で、その構想は実現不可能となった。また、住商グループと清掃ロボット事業を展開してきたが、住商側としては開発資産を継承するか、他のロボット開発企業と連携するか、あるいは撤退するかといった選択に迫られることになる。
 なお、元部長は埼玉県の工業系大学で教鞭をとっていたが、2012年2月をもって退官するという。

  追伸となるが、同社クリーンロボット部ならびに元部長は2000年代半ば以降、サービスロボット市場を先導してきただけに、今回のような記事を掲載しなければならないのは、ロボット業界関係者ともども大変残念でならない。


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《トレンドウォッチ》
「ビジネスデザイン、不正金融支援への関与、売買契約の仮装は一切ない・・・」
-フタバ産業による不正金融支援の調査報告書に対するBDLの見解詳報-

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