上述のアシストスーツの市場予測の中には「能力増大」に分類されるシステムも含まれており、富士経済では有力なプレーヤーとして、パナソニックの社内ベンチャー・アクティブリンクを挙げている。2月には全身タイプに拡張した「パワー増幅ロボット」の試作機を公開した。2010年度以降の実用化を目指しており、厳密には「2010年期待のベンチャー!」として紹介すべきだろうが、2009年度は大手ゼネコンとともに建設現場に向けた用途の絞り込みを予定しており、今年からの活躍が期待される(*5)。
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アクティブリンクが開発した全身タイプのパワー増幅ロボット。「双腕パワー増幅ロボット」に脚部の増幅ユニットを追加したもので、片腕はハンド部を含めて6軸、片脚3軸の全身計18軸を持つ。現在は、建設作業現場に向けた開発を進めている。 |
開発したパワー増幅ロボットは、すでに開発した「双腕パワー増幅ロボット」に脚部の増幅ユニットを追加したものである。片腕はハンド部を含めて6軸、片脚3軸の全身計18軸を有している。ユーザーがグリップに加えた力の大きさと方向を6軸力覚センサ(前後、左右、上下と、それぞれの回転方向の計6軸)で検知し、その情報に基づいて関節駆動力を算出、各モータをトルク制御することでパワー増幅を行う。トリガーを引くと把持することもできる。モータには安川電機製を、6軸力覚センサにはミネベア製をそれぞれ採用している。
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ユーザーがグリップに加えた力の大きさと方向を6軸力覚センサで検知し、その情報に基づいて関節駆動力を算出、各モータをトルク制御することでパワー増幅を行う。トリガーを引くと把持することもできる。対象物に触れた感覚をフィードバックされ、熟練作業者の能力を発揮できるという利点がある。 |
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ワイヤを介してユーザーに力を返すようにしている。ロボット側からユーザーへ過大な力がかかったときは、ワイヤを断線しプーリを空転させる。このようにフィードバック系を遮断することで、安全を確保している。 |
現在、パワー増幅ロボットの開発は、大手ゼネコンなどとともに建設現場への適用を目指して取り組んでいる。有望な用途の1つとして、高層ビルの建設で利用する5t・m級タワークレーンの解体作業(*8)への適用が考えられる。ビルの完成後は解体して、エレベータの空間を利用して地上へと降ろすが、解体後でも各部材の重量は100kg程度に上る。通常は、複数の作業者で解体や降ろす作業などを行うが、同ロボットの利用により1人の作業者で行うことが可能になる。こうした意図もあり、現在の増幅ロボットは片手で約50kg、両手で約100kgの重量物を持ち上げられる程度のパワー増幅に抑えている(*9)。
今後の展開に触れておくと、まだ検討段階ではあるが、アクティブリンクは受託R&Dを軸に事業展開しているため、「製造販売を担うパートナー企業に技術提供をすることになるだろう」(同)という。ただし、身体に装着するような感覚で使用するシステムであり、また多軸構造であることを考慮すると、使い勝手の確認や適切なメンテナンスが欠かせない。ログ(利用状況)情報をフィードバックするような仕組みを組み込むことが必要であり、「単なる技術提供にとどまるビジネス展開にはなりにくいのでは」(同)とも話す。
少なくとも2009年度中には具体的な用途を絞り込み、必要とされる増幅率や軸数などを整理することを予定している。2010度以降の適用に向けた取り組みが加速することが見込まれる。
アクティブリンクでは、パワーアシスト(能力増大)技術の応用展開を進めており、エアハンマー(熱間鍛造)作業者に向けた鍛造作業用アシスト装置の開発にも取り組んでいる。「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」(中小ものづくり高度化法)(*10)に基づく「特定研究開発等計画」の認定事業として、岐阜県のまこと工業と共同開発を進めており、“あとは購入してもらうだけ”という段階に来ている。
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まこと工業と共同開発しているエアハンマー作業に向けた鍛造作業用アシスト装置 |
開発した鍛造作業用アシスト装置は、パンタグラフ構造のアーム先端に把持機構を付加したもので、把持したワークの上下方向と回転(捻り)方向の動作をアシストする。ワークの把持は、グリップ上のスイッチのON/OFFで制御しており、この動作はパワーアシストをしていない。写真のように、右手でグリップを持ち、それに左手を添えて使用する。
把持機構には力覚センサを内蔵しており、ワークを把持したときにグリップにかかった力を受ける位置に設置している。また、ワークを捻ったときに軸受部にかかる負荷も検知できるようにもしている。前者の上下方向にかかる負荷はエアシリンダーにより、後者の回転方向にかかる負荷は把持機構内のモータにより、それぞれアシスト力を発生している。この作業では、ワークが柔らかいために金型から離れないことが間々あり、ロボットアームを使用した場合、上型の上下動に伴いアームが損傷することが懸念される。エアシリンダーのストロークにより、上型の上下動に伴う衝撃を防ぐという意図から、このアクチュエータを採用した。
上下方向は自重をキャンセルしつつ約10kgのアシスト力を発生し、回転方向は作業者の感覚に合わせてアシスト力を調整している。
上述の認定事業は2008年度までだが今後も、まこと工業との共同開発を継続していくことを予定している。鍛造作業用アシスト装置の販売・サポートについては、同社と関係のある機械商社が担当することが決定している。普及に向けた道筋がつけられており、「鍛造作業用アシスト装置」という新たな市場を切り開くことが期待される。
(次回「PART2.考え抜かれたビジネスモデルを提示:ゼットエムピー:楽曲レコメンドサービス/JA三井リース:コマーシャリース」に続く)
■関連サイト
2009.02.12 アクティブリンク、全身タイプのパワー増幅ロボ公開、建設現場への応用を目指す
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090212-71e1.html
アクティブリンク 受託R&Dを軸に“松下の子会社らしく”大きく成長していきたい
http://robonable.typepad.jp/robot/2008/03/rd-6795.html
「MMSE 金岡克弥 人と機械との新しい関係構築のため、熟練作業者のスキルを生かす道具としてMMSEを普及させたい」
http://robonable.typepad.jp/robot/2007/12/mmse-mmse-1771.html